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「ルポ・貧困大国アメリカ」


ルポ貧困大国アメリカ
「アメリカ人って、貧しい人ほど太ってない?」
「そうそう、あんなに食べるものあるのに、どーして貧乏っていうことになるの?」
そんな会話、したことありませんか?
貧しい人は、フードスタンプというのがあって、
それで買い物に行くと、どうしても安くてカロリーの高いものを買うしかないのだそうです。
たとえば、「マカロニ&チーズ」(1$50)「ミニッツライス」(99c)などなど。
野菜や果物を買うのは大変。
それに、貧しい人たちは、調理器具自体をもってないこともあるというのにはビックリ。
…そんな話から入っていくのが、この
「ルポ貧困大国アメリカ」です。
映画「シッコ」で大々的に紹介された、アメリカの医療制度のことも。
堅実な生活を送っていた中流家庭のアメリカ人が、
一度病気になってしまったことをきっかけに数百万の借金をかかえるようになり、
ホームレスにまでなってしまう。
「無保険」でなく、毎月高い保険料を払っていたにも拘わらず、
「その病院は指定じゃない」「その病気は支払の対象じゃない」などなど、
ナンクセつけられて払ってもらえないからくり。
医療費は高くなっているけど、医療の従事者が潤うわけではなく、
重労働にどんどんやめていく。
すると、残った医師や看護婦はなおさら重労働に。
…なんだか、今の日本の話を聞いているよう…。
生活に不可欠なものまで民営化してしまったことで、
大半のアメリカ人がどんなに苦しんでいるかがわかります。
「アメリカ人」と一口にいっても、3種類いる。
「大金持ち」と「どんどん貧しくなっていく市民」と「市民権を持っていない人」。
市民権をもっていないひとたちは、永住権をもっていても、ものすごく安く使われる。
そして、危ない仕事につくしかない。
たとえば、軍隊。
たとえば、イラクへの派遣。
「戦争まで民営化してしまった」という話には、身も凍る。
「警備員」として民間に雇われた人については、拷問など虐待を重ねても
「兵隊」ではないから、ジュネーブ協定違反に問われないんだって!
そういう「警備員」や「トラック運転手」たちは、
イラクでどんなに命を落としても「イラク人死者」にも「アメリカ兵死者」にも数えられない。
万一イラクで死んだ場合は、遺体は火葬、遺骨はアメリカには戻さないという契約だという。
読んでいて、
ああ、この世は一握りの金持ちと、あとは奴隷の世の中になってしまったのか、と思った。
「奴隷」がおかしければ「二級市民」。
生きるためなら何でもする。
そうしなければ生きていけない、という人たちがどんどん増えている。
読んでいて、暗澹たる気持ちになった。
「民営化」の行き着く先だ。
たくさん儲ける一握りの人と、
貧乏になっていくたくさんの人と。
おそろしい。

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