東京・築地にある浜離宮朝日ホールに、
辛島小恵さんのコンサートに行ってきました。
辛島さんは去年、
帝劇ミュージカル「レ・ミゼラブル」でコゼット役デビュー。
クラシック畑からミュージカルへと活動の場を広げています。
今回のコンサート「サエッセンス」も
「マイクを持ってのファースト・コンサート」と位置づけ、
意欲的にミュージカルナンバーに取り組みました。
「サウンド・オブ・ミュージック」「キャバレー」「ジキル&ハイド」
「エリザベート」「ジーザス=クライスト・スーパースター」「コーラス・ライン」
「オペラ座の怪人」もちろん「レ・ミゼラブル」
また、「蘇州夜曲」や「東京ブギウギ」などの昭和の名曲やシャンソンなども披露、
サラ・ブライトマンの歌で有名な「Time to say Goodbye」も歌いました。
さすが桐朋音楽大学の声楽家を首席で卒業しただけあって、
コロコロと鈴の音をころがすような高音は見事。
エリザベート、クリスチーヌといった役どころには、その声がぴったりだと思いました。
「蘇州夜曲」もきれいでした。
逆に、「キャバレー」など、人をくったような演技や味のある歌い方が要求される曲は、
まだまだ歌を自分のものにできていなかった。
「東京ブギウギ」のような、うねるようなリズム感が要求されるものも、
歌いこなせていませんでした。
高音域に入ると力強く伸びていく声も、
中音域では地声で処理できず、裏声になってしまうのでパンチも半減、
歌詞が生み出す世界を伝えきれていませんでした。
壮大なミュージカルの中の一曲を切り取って、
たった3分間で観客を引きつけるというのは、
本当にものすごいことなんだな、と改めてミュージカル・スターたちの実力に脱帽。
同じAメロを、何通りにも歌い分け、
喜びを、悲しみを、不安を、希望を、からかいを、自在に表現しているんですから。
辛島さんも、「力強いピアニッシモ」を獲得し、
声帯を十分に震わせないで済む一見「楽」に思われる中音域を、
高音域より丁寧に歌って人生をこめられるようになれば、
きっともっとよくなると思いました。
井上芳雄も言っていた。
「音符どおり、きれいに歌う」だけではなく、
きちんと歌詞がセリフとして心に届く歌い方が
ミュージカルでは求められているのです。
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