金原ひとみが「新潮」2007年1月号に書き下ろした「ハイドラ」を読みました。
金原ひとみは「蛇にピアス」などで有名な、若くてきれいな芥川賞作家です。
最近の作家さんの作品は、あまり読まないのですが、
たまたま「ロープ」(1月5日のブログにあります)の戯曲が載っているということで、
「新潮」を買ったところ、この「ハイドラ」も載っていた、というわけです。
一気に読みました。
面白かったです。
好きな男性に対する女性の心理が、ものすごく自然に、そして丁寧に描かれている。
たたみかけるようなリズムもいい。
人物描写も過不足がなく、
読みすすむうちにどんどん視界が開けていくような展開も見事です。
「捨てないで」という願望の強さは、
女性なら必ず一度は経験する、自虐的な願望。
自分の価値が自分でわからない。
そんな若さゆえの迷走。
しかし、作品との出会いって、突然やってくるよね。
かつて山田詠美の「僕は勉強ができない」が雑誌に初出した時、
何気なく本屋で手に取ったまま、全部立ち読みしてしまったあの時の興奮に、似ている。
おみそれいたしました。
これからの作品も、要チェックです。
「新潮」は月刊誌です。2007年1月号の特集「文学の5つの出来事」の中に
「ハイドラ」と「ロープ」いずれも入っています。
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