「アメリカの国民のわずか3%に満たぬユダヤ人が、
アメリカの中東政策を左右している。
それはなぜ可能なのか」
そう書かれてあったので、
その答えが書いてあるかと読みました。
ユダヤ人社会というものが、どう形成されているか、
「国を持たない民族」にとって、
イスラエルという国家がいかに心のよすがとなっているか、
宗教でつながった社会扶助組織が
「選挙」でいかに力を発揮するか。
「所得の1割は困っている人のために」というユダヤ教のおしえが
その組織をいかに堅固なものにしているか。
「ユダヤ人の金持ちがアメリカを牛耳っている」という
わかったような見方をしちゃいけないな、と思った。
「ユダヤ人大好き」だった著者が、
イスラエルのパレスチナ人への対処に疑問を持ち始め、
そこから何人もの生身のユダヤ人を取材してまわった。
一次資料の具体性が、
この本のいいところだ。
「およそユダヤ人というものは」といった観念的な話ではなく、
「この人は」の集積がここにある。
だから、
一口に「ユダヤ人」といっても、いろいろなタイプがあるのだ。
ただ、
なんといっても「9.11」以前の話なので、
読んだあと、
「今はどうなってるのかな」を考えずにはいられない。
その点が、なんとももどかしい読後感であった。
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