教室の悪魔
いじめを受けて自殺する事件が立て続けに起こった時期、
朝日新聞に著名人の「呼びかけ」記事が毎日載ったことがあった。
あの中で、私が一番好きだったのは、
元マラソンランナーでスポーツライターの増田明美さんのものだった。
アルピニストで環境活動家の野口健さんのもよかった。
なぜこの2人のことを覚えているか、というと、
彼らは「逃げないで」「がんばって」とは言わなかったから。
いじめられている人の心に寄り添って書いていたから。
この「教室の悪魔」を読むと、
「いじめに負けないで」がどんなに残酷な言葉かがよくわかる。
そして、
一番大切なことは、子どもを守る「覚悟」。
親も、先生も、
とにかく「いじめは絶対いけない」という気持で
一丸になって取り組む。
子どもたちに「こりゃ、ただごとじゃない」と思わせる。
つまり「大人はホンキだ」ということを見せるのだ。
イジメがあったかなかったかの迷路にとりこまれないこと。
これも大切だということがわかった。
児童相談センターで実際に相談の最前線にいる著者だからこその、
子どもに対する愛情溢れる視線が涙腺を刺激します。
親の苦悩に対しても、多方面で理解を示しながら、
陥りそうな誤った対処を指摘してくれます。
それほど時間がかからないで読める本なので、
子どもに関わるすべての人に、一度は手に取り、読んでほしい本です。
- 本
- 12 view
この記事へのコメントはありません。