日本の歴史をよみなおす
網野善彦さんが、若い学生さんたちにわかるように、
やさしく語りかけた歴史のお話です。
今まで「歴史のジョーシキ」と思われていたものを
掘り起こされた資料をもとに正し、
異なった視点で考えなおしていく本なので、
まったく歴史に興味のない人にはつらいかも。
でも、
日本の歴史の大体の流れがわかり、
(○○時代、といわれてなんとなく絵が浮かんでくる)
歴史ものとか大河ドラマとか好きだったりすれば十分OK。
一番目からウロコだったのは
「百姓」=100%「農民」じゃない
という切り口でしょうか。
研究書から研究書へ、伝言ゲームのようにそうなってしまったけれど、
百姓の中には、専業農家だけでなく、漁師や炭焼きの人とかも入っていて、
その上漁師は魚の行商もやっていたし、
そういう人も「百姓」に数えられていたっていうんです。
「水呑百姓」っていうと、土地がなくて水しか呑めないくらい貧しい農民
っていうイメージだけど、
土地を持たない百姓のことを土地によって「水呑」と称していて、
彼らの中には北前船の船頭で大きな商売を任されていたり、
土地はなくとも船を持っていたりする裕福な人もいたそうです。
土地を「持てない」じゃなくて
「持たない」「持つ必要のない」人たちも含まれていたってことですね。
もともと「百姓」という言葉は中国や朝鮮半島にもあって、
そこでは
「ふつうの人」という意味なのだそうです。
百の姓=ありきたりの姓=特別な出自じゃないっていう、
文字通りな意味ですね。
「日本が農村中心で、どの村でも自給自足をしていた」という思い込みがあるけれど、
海に面してたくさんの島々があり、
交通機関は「川」や「海」であり、そこを使って日本人は、
昔から交易をして暮らしを立てていた人が多かった。
つまり。
今食糧自給率40%でおたおたしてますが、
そしてそれはものすごく危機的な状況であることは事実ですが、
昔は「自給自足だった」っていう考え方はちょっと違う、と。
どの地域も、
自分たちだけで生きていける土地じゃないんです。
他の土地の人と交易して、
自分たちの特性を活かしつつ、
知恵出し合って商売して、
それでここまで来たのが日本です。
外交とか貿易とか、すごーく大事なのは、
今も昔も同じなんですね。
これからのちょっとタイヘンそうな時代、
私たち、つながりあって協力して生きてまいりましょう!
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