昨年12月よりやっている「リビングBOOK大賞」ノミネート作品のご紹介、
新春第一弾(?)は、「消えた年金」を追ってです。
年金問題追及の急先鋒、民主党の長妻昭衆議院議員が、
ここまで年金問題が明るみに出るまでの経緯、
特に「資料を出さない官僚」との闘いを中心にまとめた本です。
この本がとても親切なところは、
一番最初の章(ここでは「節」という項目を使っています)に
「どうすれば年金被害を受けずに済むか」に焦点をあて、
「あ、自分もこのケースに当てはまりそうだ!」と思い当たる場合、
まずどのようにすればいいかを書いてくれているところです。
面白いのは
「お役所は『書面』に弱いから、必ず答えは『書面でください』と言いましょう」
というくだり。
自分が官僚からいかに苦労して「答え」を出させたか、そのノウハウを、
国民一人ひとりの年金奪回ノウハウとして、おしえてくれているのです。
長妻さんが、テレビ中継のある日の国会質問に立つまでの長い道のりがわかるとともに、
これからも、「実態解明」までの道のりは長いな、
ちょっとでも手綱をゆるめたら、
また足踏み、あるは逆戻りしてしまうな、という危機感を感じる一冊でもあります。
「事実」と「数字」を積み上げてここまでの仕事をしてきた長妻さんらしく、
本の中には調査で出てきたデータがたくさんあります。
「数字」に慣れてない読者には読み飛ばしたくなるところ、多々アリ。
でも、
もし自分の年金が「消えた年金」に組み込まれている心配があるならば、
自分の住んでいる市町村はどうなっているか、など、
この本が実態をみるきっかけになるのではないでしょうか。
データをそのまま載せているというのは、
長妻さんが「私の意見ではなく、事実を見てください」という
とても誠実な姿勢の表れだと思いました。
後半は、安倍首相(当時)との国会でのやりとりを記録した「答弁書」です。
ニュースなどで、その一部は知っていても、
全容というのはなかなか知らない人が多いですよね。
これも、「一部始終を公開」というスタンス。ぶれてません。
今も、年金問題は解決していません。
「実態の解明」があって初めて「改革」ができるということ、
「年金問題への不安」は「国家をゆるがす一大事だ」という認識。
地道な努力に頭が下がります。
私達も、「誰かが何とかしてくれる」と思わず、
関心を持ち続けていくことが大切ですね。
BOOK大賞応援隊のブロガーさんコニコの喫茶店で、
「ニッポン・サバイバル」のレビューが見られます。
投票は1/31までです。
詳しくは、えるこみHPまで。
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