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地名で読む京の町(上)-洛中・洛西・洛外編-


地名で読む京の町(上(洛中・洛西・洛外編))
京都は歴史が何層にも重なって生き続けてきた町。
ひと言で「京都」と言っても、
その大きさ、形、繁栄は、時代ともに生き物のように変化し続けてきました。
たとえば。
京都は正方形に作られたことは有名。
真ん中に道路幅85メートルというとてつもない「朱雀大路」が走っていて、
中国の都の名にちなんで、西半分を「長安」東半分を「洛陽」と名づけたらしい。
それなのに、今京都の真ん中に「朱雀大路」はないのはなぜなのか?
西半分の「長安」地区は早々にすたれ、
朱雀大路には人が住み畑が作られて道はなくなり、
気がついたら「京」は「洛陽」だけになっていた。
だから「洛中・洛外」などと「洛」の時を使って京都を表すのだ、という!
京都は長方形になり、
最初は「洛外」だった鴨川に向かって、東へ東へと膨張していく。
鴨川に沿って高瀬川(運河)が作られたのは、江戸時代のことで、
木屋町通りや先斗町は、その頃から繁華街になったそうな。
「794年」の京都の形に、現在の京都の町を、そのままはめ込んでいた私にとって、
この本、出だしで「ほお~!」の連続。
たんざく形(長方形)の区画がほとんどだけど、
真ん中辺だけが正方形なのはなぜか、とか、
今ホテルになっているところって、昔は藩邸だったんだなー、とか、
いろんなことがわかります。
金閣寺、広隆寺、大覚寺、天竜寺など、
有名なお寺や神社の変遷もわかりやすくテンポよくまとめられていて、
自分の中で断片的だった京都の歴史がつーっと一本の縄にまとめあげられていきます。
たくさんの寺社が応仁の乱などの戦禍で何度も焼失しながら、
長い年月をかけてまた復活するところにも感動します。
そして、
天皇にたてついてまで寺を再興しようとする気骨のある僧たちの生涯に、
ものすごく興味を持ちました。
怒りにふれて流刑になって、許されて、またたてついて、みたいな人とか、
ヘソまげて隠遁しちゃう僧とか、いろいろ。
京都の町の地名をひもときながら、
時代時代に生きている人々の顔が見えてきます。
京都が好きで、訪れたことのある人は、
町並みを思い浮かべながら、また行きたくなること請け合いです。

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