本というのは、今年出たとか前からあるというのは関係ないので、
必ずしも「新刊」にこだわらず、
私がこの一年で読んだ本や雑誌の中で印象深かったものについてとりあげます。
劇場に行くと、必ずアンケート用紙を配られますよね。
その日の舞台の感想はいいとして、
「定期的に購読している雑誌は何ですか?」
…という項目、いつも困ってしまいます。
愛読誌って決まってない。本屋さんでパラパラ見て、面白そうだったら買う。
お目当ての記事があるかないかで、買う。
ところが、このところ、毎回買っているのが「婦人公論」。
何といってもインタビュー記事が充実しています。
女優から社会学者から、いろんなジャンルの人の人生がつまっています。
特に目についたのは、安倍首相の辞職直後のデヴィ夫人へのインタビュー。
スカルノ元インドネシア大統領夫人としての経験から、
「首相の妻とは」「首相の日常とは」を語らせている。その切り口が斬新。
最近では、元赤軍派メンバー重信房子インタビュー(連続)も内容が濃く、
おそらく長期の取材だったろう、歴史的背景をしっかり把握した上で
様々な視点を有しながらの展開が見事。
インタビュアーの根気と、対象への愛情を感じました。
単行本では
「トヨタの闇」が衝撃的でした。知らないことがあまりにたくさんありすぎて。
ちょうど、内野健二さんの過労死問題で、地裁の判決が下りた直前に読んだこともあり、
ニュースやテレビでの番組とオーバーラップする形でますます忘れがたい問題となりました。
実用本では
「時間管理術」。
私の自堕落な生活に、やさしいながらも「喝!」をいれてくれた本です。
歴史関係もいろいろ読みました。
古い本ですが、「ロスチャイルド王国」は目からウロコの歴史書でしたね。
よく「タテ軸」「ヨコ軸」といいますが、「ウラの軸」というものがあったか、という感じです。
日本の歴史では立花隆の「天皇と東大」でしょう。これも「ウラの軸」的な視点です。
これを読んでいる時にたまたま古本屋でみつけた松本清張の「昭和史発掘」が、
同じような題材を扱っていて、
今までよくわからなかった「二・二六事件」やそれに先立つ犬養毅首相の暗殺事件のことが
「歴史の一幕」「教科書の一行」ではなく、
今の政治とずーっとつながっている出来事だったと感じさせる2作品でした。
小説では、
金原ひとみの「ハイドラ」、秋元康の「象の背中」。
最近の小説、あまり手にとりませんが、この2つは「次のページ」に読者を誘う力がありました。
「次が読みたい!」という意味では、
ディケンズの「デヴィッド・コパーフィルド」がすごかったです。
訳者の中野好夫さんのあとがきによると「小説がただ面白ければよかった」頃の作品で、
近代小説で取り上げられるような深い心理考察はないということですが、
「面白さ」を追求した、という点ではこれほどのものはないだろう、と思うくらいです。
ちょっとした登場人物のしぐさが、そのまま映画の1シーンになるような描写力、
章の終わりの、悲劇の予感を匂わせるような最終行。(ちょっとクサイが)
「小説」が「テレビドラマ」や「映画」の役割を果たしていた頃の、
ジェットコースター大河ドラマです。
まだまだ、買っててつかずの本が何冊もあります。
全部読めるのは、いつのことかなー。
明日はいよいよ大晦日!
映画の一年を振り返ります。
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