今、2種類の本を並行して読んでいる。
一つは松本清張の「昭和発掘史」。
おもに電車の中で読んでいる。
かなーり前に古本屋で買った。レビューにも書いたことがある。
全13巻のうち、第6巻くらいまでは一気に読んだものの、
(5.15事件あたりまで)。
相沢裁判のあたりでちょっと足踏みしている間に他の本を読んだりして、
そのまま1年くらいほったらかしだったのをまた読み出した。
今第9巻に入ったところ。
8巻の最後に「いよいよ2.26前夜へ」と書いてあったので、
すぐに2.26事件に入るかと思いきや、
9巻の目次を見たら、最後の項目が「2月25日」なので、
10巻まで当日の話は出てこないらしい。
もう一つが「炎の人 ゴッホ」である。
こちらもレビューを書いたけれど、
ものすごいぶ厚い本なので、ある仕事場に置いてあって、
そこに行ったときだけ読んでいる。
でも今日、
ゴッホがパリについて、弟のテオに励まされるところで、
胸が熱くなって、涙が出て、
もうこの先を一週間なんて待てない!と思い、
ぶ厚いのにバッグに持って帰ってきてしまった。
前にも書いたけれど、
書いてあるセリフをいうのは、市村正親のゴッホ、
そして今井朋彦のテオなのである。
これがまたハマル。
パリ時代のゴッホについては、
三谷幸喜の「コンフィダント・絆」でも扱っていた。
だから、
ゴッホは断然市村さんなんだけど、
スーラは中井さんだし、
ゴーギャンは寺脇さんだったりする。
それまで奇人変人狂人ダメ人間扱いされていたゴッホが
パリに来たらいい絵を描く男たちはみな狂人扱いで、
みな経済的に一人立ちできていず、
みな今までの画法やしきたりを無視していて、
彼らに出会ったとき、ゴッホはどんなに救われただろう。
まばゆいばかりの才能に出会うことの大切さを知りつつも、
「自分がしっかりと出来上がる前に見てしまえば、のみこまれてしまうから」と
長いことパリ行きを勧めなかったテオの見識にうなる。
ゴッホの物語を語る上で、弟のテオの存在は欠かせないが、
逆にテオを中心にすえてもいいくらい、彼は魅力的。
なぜテオは兄ゴッホを支援し続けたか?
弟だったから、ではなく、
画商として彼の才能を見抜いていたから。
そこが、胸に迫ってくる。
弟として兄を尊敬しつつ、
絵画のプロとして、兄に過不足のないアドバイスを送る。
できた男だ。
キレまくり、パニックになるゴッホの背中をさすりさすり、
ゴッホを自分らしい仕事に向かわせた。
すごい。若いのに。
ほかの画家たちの才能も見出しているのだから、
テオの眼力はウソじゃない。
「兄さんは、ずっと前から印象派として書いていたんだよ」
テオのこの言葉は、本当に感動的だ。
パリで兄弟で生活していた時期は終わりを告げ、
いよいよゴッホはアルルへ。
油絵と色彩を身につけたゴッホが一回り大きくなるために脱皮する。
読み進むのが楽しみ。とても楽しみ。
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