5月20日から、連続で書かせてもらった青森行の顛末、
今日が完結編です。
それでは、時計の針を少し戻して、
青森駅を出たしらかみ号が五所川原に着いたところから。
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午後3時15分、五所川原駅前でタクシーに乗り込んだ私たちは、
3時40分には斜陽館に着きました。
全部列車で帰京するには、五所川原4時12分発の列車に乗らねばならない。
ということは、
斜陽館を10分で見ろ、と(笑)。
無理です。
実は、この電車、川部で30分くらい乗り換えの待ち合わせがある。
じゃ、川部に5時19分に着けばいいじゃん、
川部までタクシーじゃ!
それなら4時15分くらいまで見学できる。
しかし。
斜陽館に入るなり、無料のガイドさんを頼めることが判明、
「全部で30~40分かかりますがよろしいですか?」
よろしいですよ。
ココまできたら、よろしいですよ。
あっさり「4時15分終わり」計画は白紙に。
ええい、ままよ。
とにかくぜーんぶ見るまで帰らん。
ゆったりまわったら、4時30分を過ぎました。
あとは、最近見学できるようになった
「太宰の暮らした疎開の家」を見るだけ。
昭和20年、終戦の直前に疎開した太宰は、
「新座敷」と呼ばれる離れた一軒家で家族と暮らし、
ここで22の作品を書いています。
待っててもらったタクシーの運転手さんも
「川部まで行くつもりなら、青森まで直接行ったほうがいい」と
新座敷見学を勧めます。
ところが……。
午後5時までは開いているはずだったんですが、
「今日はもうおしまい」って言われちゃって…。
実は、この新屋敷、
まず電話してでないと中に入れてもらえない。
先に電話しておけばよかったのかもしれないけど、
とにかく、午後4時45分に電話したんじゃ遅かったんでした。
とりあえず、家の前までは行って、
写真だけは撮ってきました。
今度行くときは、新座敷の中も入ろうっと。
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さて。
金木から青森まで、鉄道だと行きの逆で、
まずは五所川原から川部まで南下し、V字に折り返して青森へという、
かなり遠回りなルート。
これは地形的なこともあるんでしょうね。
でも最近、
金木から津軽半島の東側にまっすぐ抜ける道路ができたんです。
山の中を突き抜ける感じ。
タクシーで、この道を通って東側に出てから、
湾に沿って青森まで南下することにしました。
(正確には海岸沿いの旧道ではなく内陸よりのバイパスを利用)
北国の新緑は眼にも鮮やか、
午後のやさしい光を浴びた山の木々を眺めながら
スムーズなドライブで、
予定よりかなり早く青森市内に入れました。
「これなら、一本早い特急に乗れるんじゃない?」
5時43分の特急に乗れれば、午後10時に東京に帰れます!
これを逃すと、次の特急は1時間後、
必然的に、東京着も午後11時すぎに……。
青森駅に5時40分に着き、
荷物を持って、走る走る!
タクシーの運転手さん、
「高額割引がありまして…」とか悠長なこと言ってるんだけど、
太っ腹の連れは時はカネなりとばかり、
「いいです!おつりいいです!」
青森の人は、みんないい人。
切符を出そうと自動改札のところで焦っていると、
「何時の列車?白鳥?いいよ、車内で改札して!」と
自動改札の機械を操作してくれて通してくれましたし、
階段を駆け上り、駆け下りて、
ジリジリ鳴ってる中プラットホームに着いた私が
「すみません!もう一人来るんです!」と叫ぶと
「大丈夫、大丈夫」と待っててくれるばかりか、
「あの大きな荷物の人ですよね?」と言って
スーツケースを運ぶ手を貸しに、迎えにいってさえくれたんです!
ハァハァ息を切らして乗り込んで、
後は無事に時間通りに八戸に着き、
午後6時58分の東北新幹線に乗って、東京に10時過ぎに戻れました。
これも、
やさしいタクシーの運転手さんと、
親切なJRの車掌さん方のおかげであります。
この場を借りて、お礼申し上げます。
いい旅でした。
絶対、また来ます。
今度は、津軽鉄道にも乗って、
小説「津軽」のように、津軽半島の突端まで行きたいです。
2010年の暮れには、東北新幹線も青森まで延伸予定だし。
もっと便利になりますね。
ただ。
今回、八戸から三沢、野辺地と進むと、
本当に森、森、森。
東北の木々の豊かさには圧倒されました。
そして
ミュージカル「AKURO」を思い起こしました。
エミシはこの森に生き、
この森の中では自在に隠れ、移動することができただろうな、と。
その森が
ヤマトの文化による開発で
どんどん失われてしまうのだろうな、と。
便利になるのは素晴らしい。
ただ、
この地の豊かさを生かす便利さになりますように。
素敵な土地だからこそ、
心からそれを願います。
「新幹線が通ったら、たくさんの人がくるでしょうね」と
おみやげもの店の人に言ったら、
「うーん、そしたらみんな北海道にいっちゃうんじゃないか、
ここは素通りされちゃうんじゃないかって、話してるんですよ」と
おねえさんが自嘲気味に答えていました。
いえいえ、
世の太宰ファンにとって、ここは聖地です!
行きましょうね!みなさん!
・・・・・・・・・★告知★・・・・・・・・・・・・・・・
来月6月19日(金)、
つまり、太宰治の誕生日であり命日、
生誕百年記念祭が盛大に執り行われます。
まず午後1時より、
金木町の芦野公園にある太宰治の文学碑の前で
太宰治像の除幕式と献花式があり、
一般人でも自由献花ができます。
その後午後3時30分から
金木公民館大ホールに場所を移して「祝賀会」があります。
会費の3000円は、当日受付。
五所川原発11時35分の津軽鉄道は、特別列車となり、
車内でお茶のサービスもあるとか。
翌20日は、午前9時より記念のフォーラムが開催されます。
場所は五所川原市ふるさと交流圏民センター「オルテンシア」で、
テーマは、21世紀太宰文学の魅力と「津軽」再発見。
基調講演は、長部日出雄氏です。
以上に参加を希望する人は、
準備の都合上、事前の申し込みをお願いします。
6月5日(金)までに五所川原教育委員会まで。
電話:0173-35-2111(代)、内線3323、3324
弘前・青森からは、送迎バスも運行されます。
こちらも無料ですが必ず申し込みが必要です。
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