魂の音楽を奏でる永遠の二十歳たち
監督:ミゲル・コアン
配給:スターサンズ(配給協力:ビターズ・エンド)
ストーリー●2006年。
ブエノス・アイレスで最も古いレコーディングスタジオに、
往年のタンゴミュージシャン22人が集まった。
彼らは1940年から50年代に活躍し、
アルゼンチンタンゴ黄金時代を作った名匠たち。
最年長は90歳、最年少でも72歳だが、今もなお人々の心を震わす。
スタジオでの練習、録音は熱気を帯び、最後はコロン劇場でのコンサートへ。
世界有数の大劇場に集まった観客は、一夜限りの奇跡の目撃者となる。
深く刻まれた皺や頬のたるみ、あるいはおぼつかない足元は、仮の姿か。
70歳80歳の節くれだった指が、バンドネオンのボタンを速く正確に刻む。
あるいは、ピアノの鍵盤の上を縦横無尽に走る。
時折はさみこまれる、50年前の写真。
その上にかぶるのは今の声なのに、力強さといい潤いといい、
歌っているのは写真の人と思うくらい若い声である。
人間、年齢じゃない!
80だって90だって、美しく歌い、激しく演奏するのだ。
音楽に対する感性の見事さが、彼らに時空を超えさせる。
音楽の前で、彼らはまさに「永遠の二十歳」だ。
とはいえ、映画公開を待たずに22名中3名が亡くなったのも事実。
マエストロたち渾身の競演は、二度とないタイミングだったのだ。
限りある命の燃え尽きるその日まで、自分を磨き、前進し続ける彼らに、
勇気と自信をもらえるドキュメンタリーである。
- 映画
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