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「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」

昨年も何度かご紹介しましたが、
「バレエ・リュス」
バレエやダンスが好きな方、必見の映画です!
この映画を観て、私がもっとも感動したのは、
「動いてなんぼ」のバレエのはずなのに、
スチールの写真だけを見ても心が震えてしまったことです。
バレエダンサーとは、その1ポーズを以ってして、すでに芸術なのだ、と
思い知らされました。
そこには、ダンサー自身の身体的能力もあるし、
彼らの表現力の高さ、アピール度の高さもある。
そして
舞台装置や衣装など、美術の素晴らしさ、斬新さにも目を見張ります。
写真1枚でクラクラのところに、
映像も残っているわけですから、
もうノックアウト!
特に、レオニード・マシーンという人の作品は、
一体、彼の頭の中にはいくつの引き出しがあるの?というくらい、
出すもの出すもの、まったくコンセプトが違う!
あれと、これが、同じ人の振り付け??
ディアギレフの死で「バレエも死んだ」と言われるほどの損失だった
元祖「バレエ・リュス」の遺産を
引継ぎ、甦らせ、発展させていった原動力が
ロシア革命からパリに逃れてきたロシア人たちだった、というのも
初めて知りました。
大体「バレエ・リュス」のことを、
ロシアのバレエ団がパリに興行しにやってきたものだと思っていた私は、
なんてオバカさんだったの??
ロシア人のものであり、パリ発のものだった。
だから、ピカソもマチスもコクトーもダリも、この運動に加わったわけですよね。
「バレエ・リュス」に入りたい!
祖国での生活レベルはいろいろだった人たちだけど、
着の身着のままやってきたパリではみんな貧しい。
そんな生活の中、苦労してでも子どもたちをバレエ学校に通わせようとした親たち。
その原動力は、帝政ロシアで培われた最高の芸術・バレエに対する
尊敬と憧れの気持ちだった。
そして、そんな女の子の中から、未来の大プリマが生まれたのです。
第二次世界大戦の間中、彼ら彼女らがアメリカを巡業していた話も面白かった。
苦労話もたくさんあるけれど、
バレエ自体を見たこともないアメリカの片田舎の村で、
ダリの美術の、前衛的なコンテンポラリーが日々上演されていたという事実!
それらの「こぼれ話」を上品な中にもウィットあふれる話しぶりで、
時に噴出してしまうほど面白く話してくれるのは、
当時のスターダンサーの面々。
まことにオチャメな紳士淑女たちなんです。
80歳、90歳になっても彼らは美しく、表情豊か。
そして残されている映像に見る彼らの、ダンスの素晴らしさよ!
考えてみれば、
その一人ひとりが一つのバレエ団を背負って立っていてもおかしくないほど
一流の人たちばかりが、
ほんの一つか二つのバレエ団に集中していたのですから、
そのレベルの高さはいうまでもありません。
今、彼らをステージで、ナマで観られたら…。
狂おしいほどにそう思った。
そして、映像に、映画に、その断片が残っている幸運にも感謝。
それを大スクリーンで見られた幸せを、しみじみ噛み締める2時間でした。
バレエの好きな人、
ゼッタイ、ご覧になってくださいね。
劇場情報はこちらです。
東京は今渋谷と有楽町の2館でやっています。
それ以外はこれからのところが多い。
とにかく、ぜひ足をお運びください。

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