9.11で崩れ去ってしまった今はもう幻の、
ニューヨーク、ワールド・トレード・センターのツインタワー。
「マン・オン・ワイヤー」は、
この一方の屋上から、もう一方のビルの屋上まで綱を渡し、
その上を歩いて渡った男の記録です。
今までに彼が「綱渡り」をした高いところのリストを見れば、
きっと一度はその勇姿(?)をテレビのニュースで見たことがあると
思い出すことでしょう。
フィリップ・プティ。
「どうしてそんなことするの?」って聞かれたって、
「なぜ」なんて考えたことのない男。
彼にあるのは「渡りたい!」という欲望のみ。
理由は、ない。
サーカスに所属したこともなく、
ただただ綱渡りが好きだ、という変人で、
学校は5回も退学になってる。
自分の興味のままに突っ走る性格です。
でも、
一人では「ツインタワー」を征服することはできなかった。
「渡る」前に、「しのびこむ」が必要だったから。
ちょっとしたルパン三世かキャッツアイかっていうスリリングなお話を、
この映画で知ることができます。
彼のために身分証を偽造したり、
何時間も工事現場のシートの中でじっとしていたり、
太いワイヤーを渡したり、
彼の周りにはいい「仲間」がいました。
その「仲間」とのその後の関わり方の顛末が、
ちょっとさびしかったりして、
これは「綱渡りの物語」ではなく、
「青春の物語」だな、と痛感。
プティはいくつになっても青春真っ只中で、
時計の止まったピーターパンみたいな人なんだけど、
まわりはやっぱり、
オトナになっていくのでした。
そんな哀愁も感じさせるドキュメンタリー。
実際の綱渡りの映像には度肝を抜かれます。
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