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「延安の娘」@BS20周年記念セレクション


[DVDソフト] 延安の娘
2001年にNHKBSで放送された「延安の娘」を、
BS20周年記念のセレクション番組最終回として、本日放送していました。
今までにも再放送されているものですが、
このドキュメンタリーは何度見ても引き込まれる秀作です。
中国文化革命で延安に下放された青年カップルが、
恋愛を禁じられていた中で産み落とした1人の女の子。
生みの親たちは北京に帰り、
自分は延安の養父母のもとで育ち、結婚し、子どももいる。
しかし、
自分の本当の親に会いたいと思っている。
彼女の思いを、当時の下放青年たちがかなえようと奔走する様子、
長い年月の末の親子の対面や、
ずっとくぐもり続けた下放青年たちの持っていきようのない叫びが
静かに、丁寧に、しっかりと描かれています。
監督は、後に「蟻の兵隊」を製作する池谷薫。
今回は放映後に池谷氏と大林宣彦を交えた対談がありました。
そのなかで、
ナレーションを入れなかった理由として池谷氏は
「私は映像の力を信じたい」と語っていました。
映像から読み取れるのは決して一つのことではない。
そこを視聴者に託している。
映像とともに、視聴者のことも信じて作ってくれていると感じました。
北京に戻ってもそこにいい生活は待ってくれていなかった父親が
細々の暮らしているフートン街も、
オリンピックを機にかなり壊されているのですから、
彼の居場所が今あるのかどうかも、わからないな、と思いながら見ていました。
最初にこれを見たのが10年前だ、ということが
すでに信じられない。
光陰矢のごとし。
BS20年のドキュメンタリーのなかでも、
この「延安の娘」は最終回にもってくるべき秀作だった、ということでしょう。
文化革命のさなか、国の政策に翻弄され、理不尽な理由で処罰され、
それとは正反対の今の世の中で置き去りにされながらも、
じっと耐え、ぐっとこらえて日々を生き抜く初老の下放青年たちと、
その忘れ形見に
なんともいえぬ哀愁を感じる一編なのです。
*下放=中華人民共和国で文化大革命の時期に、
    労働第一を謳った毛沢東精神にのっとり、
    大学生らインテリ青年は、親元から切り離され農山村に派遣された。
    その理想は高邁であったはずだが、実際は強制労働に近く、
    人間らしい生活は保障されない場合が多かった。

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