映画館で予告編をみて、「これは絶対見たい!」と思った映画の一つ、
「おくりびと」
先日、試写を見てきました。
本編の素晴らしさは、予告編以上。
多くの人が「今年最高の作品」と言っているのがよくわかります。
人間の感性に染み入ってくる、いい作品です。
チェロの演奏家としての人生をあきらめた小林(本木雅弘)は、
妻(広末涼子)とともに、今は空き家となっている山形の実家に移り住むことにした。
新聞の折込チラシで見つけた「旅」の仕事、
実はあの世への「旅立ち」のお仕事だった!
・・・というあたりまでは、どちらかというとコミカルな感じで進むのですが、
「人の死」それも「遺体」を扱う仕事とは、一体どういうものかを
非常に静謐に、美しく描いています。
最初は妻にも言えずに始めた仕事に対し、小林(モックン)が向けるまなざしの変化、
淡々と死者を送り出す社長(山崎努)の儀式の中に潜む愛情の深さ、
家族に死なれて初めて噴出す遺族の気持ちのやるせなさ。
エピソードとして出てくる「人の死」の一つひとつに、
何がどうしたって涙が出てきちゃう。
人の人生の最期を切り取っただけの場面が、実は大きなドラマを感じさせるものだと痛感。
また、それを切り取った滝田洋二郎監督の手腕に、脱帽。
「死」を語りながら、「生」のぬくもりが伝わってくるのです。
「1人で悲しみを背負ってしまう」性質(たち)の小林の心が
大きく開かれていく終盤も、無理がない。
遠く離れてしまった人の心を知ることは難しいけれど、
求め合うものは、いつか分かり合える、そう思える映画です。
「おくりびと」というタイトルが、けっこう地味なので、
どこまで動員できるかちょっと心配ですが、
これは絶対見るべき!
家族で見るのも、恋人と見るのも、一人で見るのもOK。
お墓参り、行こうかな、とか、
田舎に帰ろうかな、とか、
家族に連絡とろうかな、とか、
気持ちが落ち着き、ちょっぴりやさしくなれる映画です。
*脚本の小山薫堂は、
「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」「進ぬ!電波少年」なども手掛けた放送作家。
作詞などでも活躍している。
「世にも不思議な物語」などドラマの脚本は経験があるが、劇場映画の脚本は初めてとのこと。
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