浅野忠信主演、タイ・韓国・オランダ合作の「インビジブル・ウェーブ」。
ベルリン国際映画祭でもプレミア上映された、多国籍映画は、
日タイ修好120周年を記念事業として作られたそうです。
この映画の深さには、ちょっとのけぞった。
生活音、路地、そして空き地、
不協和音と不条理。
身の置き所がない浮遊感と、ずっしり思い罪の意識。
誰の心の奥底にも澱(おり)のようにしてたまっている
そして、いつのまにか忘れてしまっていた自分の罪と不安を
まるで気まぐれにビンを振って水面まで舞い上がらせるような映画、
それが
「インビジブル・ウェーブ」なのだ。
香港を、プーケットを、そして船の中を舞台としながら、
それは現実なのか、夢なのか、時々わからなくなるような幻想的なシーンの連続。
フィクションに決まっているんだけど、
ドキュメンタリーみたいなロードムービー。
よくわからないながら、ついていきたくなる、
そして、進めば進むほど味が出てくるストーリー。
あまりにアジア的な、とでもいいましょうか。
全員「自然体」映画の中で、一人「役者」を貫き、もっとも光っていたのは、光石研。
すべてを知っているようで、はぐらかし続ける謎の男リザード(トカゲ)を好演していた。
浅野忠信って、どうしてあんなに人気があるのか、
よくわからなかったんだけど、
たしかにフシギな存在感なんだよね。
心の底から迷い続けているような、その戸惑いの表情が、
見終わった後も、長く心に残り続けます。
5月26日より、シネマート系で公開中です。
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