DVD キサラギ スタンダード・エディション
遅ればせながら、「キサラギ」を見てきました。
(豊洲ユナイテッドシネマズで、800円で見られるアンコール上映にて)
如月ミキというグラビアアイドルの突然の死から1年、
ミキの熱烈な一ファンとしてインターネットにファンサイトを開いていた
「イエモト」君(小栗旬)が、
そこに書き込みをしてくるミキちゃんファンの一人、
「織田裕二」さん(ユースケ・サンタマリア)の発案で
一周忌の追悼パーティーをやろうとメンバーを募る。
ミキちゃんのいる天国に一番近いところ、と高層ビルの屋上の一室を借りて
「イエモト」「織田裕二」のほか、
「安男」くん(塚地武雄=ドランク・ドラゴン)、「スネーク」さん(小出恵介)、
「いちご娘」(香川照之)の、総勢5人のオフ会は、
初めて顔を合わせる形で行われる。
「ミキちゃんのことはぜ~んぶ知ってる」とばかりに、
イエモトくんが集めたコレクションを自慢げに披露していたあたりは他愛がなかったが、
「ミキちゃんは自殺じゃない、殺されたんだ!」と「織田裕二」が言い出してから、
追悼パーティーはお互い疑心暗鬼の密室サスペンスへ様変わりしていく…。
…というわけで、
サスペンスですから、ネタバレ禁止ですね。
喪服の5人が一つの部屋で、糾弾したり弁解したり、スネたり隠したりしながら
話は進んでいきます。
トーンがめまぐるしく変わる、そのスピード感と、
あちこちにはりめぐらされた伏線。
いつのまにか自分も「謎解き」に参加して
誰よりも早く、気づいたことを叫んでトクイがったりしてしまうから可笑しい。
つまり、すべてのカギは観客にも与えられている!
そこが、古沢良太の脚本の見事なところです。(古沢良太は「三丁目の夕日」の脚本も手掛ける)
如月ミキを遠くから眺める単なる「ファン」の集まりのはずが、
一人、また一人、とミキとの関係があらわになってくる。
その中で、
「ボクが一番ミキちゃんのことを知っている!」という自信が瓦解していくイエモトくんを、
小栗旬が好演。
彼にとってある意味至福の終わり方に、
私もあるお方の大ファンである立場から、非常に共感でき、救われた思いがしましたッ!
どう見てもアヤシイ人物な「いちご娘」のキャラクターを見事にまとめあげた香川照之はさすが。
ストーリーを引張っていく重要な役回りを、
「織田裕二」というハンドルネームのバカバカしさに埋もれずに務めたユースケ・サンタマリアもいい。
ただのイロモノかと思いきや、「安男」のどんでん返しを観客に納得させる塚地の演技力、
「いるいる、こんなヤツ」のお調子もので突っ走る「スネーク」の小出恵介、
5人の実力とチームワークが、
まるで舞台劇のような緩急を作り上げています。
そして、
如月ミキを愛する5人の心模様を丁寧に扱った物語だからこそ、
エンディングは心地よいものになっています。
個人的にはエンドロール近く、
さりげなくインサートされる「イエモト」くんのロッカーのエピソードに胸が熱くなる。
ファンとは、誰かを愛することで、自分の人生をなんとか支えているのだ!
そのファン心理を、こんなにさりげなく映すスタッフに、
「あっぱれ」マークをあげたい気持ちです。
- 映画
- 10 view
この記事へのコメントはありません。