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「ザ・マジックアワー」

三谷幸喜が「今まで4作映画を作ったが、初めて納得いくものが作れた」と豪語する
「ザ・マジックアワー」
面白いです。
笑います。声出して笑います。
ちょこっと出ている故・市川崑監督に、生前脚本を見せたら
「よくできてる。だが、長い!」と言われた2時間半のドラマ。
あっという間です。
ちっとも長く感じさせない。これはすごいね。
難を言えば、最初のところがちょっと冗長。
なーんか、とってつけたような作り事っぽい展開で、
私はすこーし覚めていた。
でも、
佐藤浩市扮する売れない俳優が守加護(すかご)の街にやってきて、
“デラ富樫”役として振舞い始めると、
もう、笑い、笑いの連続。
これ、つまり佐藤浩市の演技力のおかげっていうことですかねー。
もちろん“受け”の芝居をする西田敏行の力量もあなどれない。
最初の
「俺が、デラ富樫だ」の“シーン”の「連続」のとこなんざ、
西田敏行(街のボス)のリアクションがあってこその可笑しさですから。
一の子分の寺島進もいい味出してました~。
妻夫木クンは、まあ「クワイエットルームにようこそ」が衝撃的だったので、
それに比べればゼンゼンふつーです。抑え気味?
もっとイカガワシクてもよかったなー。
「映画監督です」って佐藤浩市に会いに行ったときの感じが好き。
深津絵里は、私、大大だ~い好きな女優さん。
悪くないけど、彼女のよさが100%出る役だったかといえば、そうでもなかったような。
もーっときれいで、
もーっとおばかで、
もーっとしたたかな人がやると、またよかったでしょうね。
(それって、マリリン・モンロー? それとも峰不二子?)
いわゆる「カンチガイのコメディ」なので、
そのあたりをきっちり計算して書いている三谷の脚本が、まずスゴいんですけどね。
この映画のもう一つの見所は、
「映画」という文化に対するオマージュ。
いろんな有名映画のパロディの連続だったり、
映画の裏方さんのことをしっかり描いていたり、
売れなくても映画をやっていきたいのはなぜか、
その売れない俳優のマネージャーをやっているのはなぜか、
そういう「映画への愛情」も含め、とても温かいものが流れています。
笑いとペーソス、とはよくいったもので、
この「ザ・マジックアワー」は、そういった映画の醍醐味を味わえる作品になっています。
あと、
「ウォーリーを探せ」状態に有名人が出てますから、
最初から最後まで、目が離せません。
特に撮影所のシーン!
スタッフから花形役者まで、そして白黒映画の中の役者まで、
あの人も、この人も、出てますよー。
それから、
戸田恵子の七変化にもご注目。
特に、この前書いた「ホクロ」の位置にも。
笑って笑って、「あーおもしろかったー」といって劇場を出る映画です。
でも、
私が一番好きなシーンは、
佐藤浩市がベショベショに泣きながらフィルムを見るシーン。
ジーンときました。
とにかく、
どんなカンチガイがまきおこるのか、
その目で確かめないことにはこの面白さは伝わらない。
一応、オフィシャルサイトとリンクさせてますけど、
何も見ないで映画館に行くほうが、1000倍面白いですよ。老婆心ながら。
絶妙のタイミング、笑いのツボを、ナマの舞台のように、どうぞ楽しんでください。

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