この母にしてイサム・ノグチあり
監督:松井久子
配給:角川映画
ストーリー●
1901年、レオニー・ギルモアは、
アメリカで詩作活動をする野口米次郎と出会い、
編集者として彼を補佐するうちに恋仲となる。
だが野口は第一次世界大戦勃発を機に、身重のレオニーを残して帰国。
遅れて生まれた息子と来日したレオニーは、
自分以外に本妻がいると知り衝撃を受ける。
彼女は異国で自立を目指すとともに、
親として「息子には芸術の才能がある」と確信し、
14歳のイサムを単身でアメリカの学校に送る。
だが日露戦争が勃発。
郵便が滞り、イサムとの連絡は途絶えてしまう。
(11月20日より、角川シネマ新宿他、全国ロードショー)
100年前の、シングルマザーの話である。
日本語もあまりしゃべれないまま、
背筋をしゃんとして明治の日本を闊歩するレオニー。
社会の常識にとらわれず、常に自分の価値観を信じて突き進む。
時に子どもたちを翻弄したとしても、
この彼女の生き方こそが、イサム・ノグチの芸術のスケールの大きさと、
型にはまらない自在な発想力を育んだことは間違いない。
教科書通りの人生から天才は生まれないのである。
独立心旺盛な彼女にも「夫」を信じ、「夫」を頼った時代はあった。
彼女を大学まで出した母親が「自立した女性に育てたつもりなのに」と
思わず口にする場面は興味深い。
レオニーの夫・米次郎役の中村獅童ほか、
原田美枝子、竹下景子、吉行和子、中村雅俊、柏原崇、大地康雄、
勅使河原三郎ら実力派揃い。
大地演じる大工の棟梁とイサム少年の交流は、子育ての核心をついている。
- 映画
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