国策映画が図らずも伝える
戦争の非人間性
監督:黒澤明
販売元:東宝ビデオ
ストーリー●昭和19年、
女学生は徴用を受け、女子挺身隊として各地の軍需工場に派遣された。
ある光学機器の工場にも一隊が寮に寝泊まりし、レンズ増産に励む。
女子の増産目標が男子の半分であることを不服とし、
3分の2まで達成すると自ら宣言する彼女たち。
しかし無理が重なり怪我人や病人続出、親の死に目に会えぬ者も出る。
それでも皆、お国のために尽くそうとがんばる。
描かれるのは神国日本を針の先ほども疑わず、
日々の目標に力をふりしぼる少女たちである。
それを「是」として描いているはずなのに、
観ていると彼女たちの純粋な愛国心や孝行心を利用し尽くす国家のありように、
思わず背筋が寒くなる。
戦意高揚のための国策映画でも、黒澤明監督の巧みさが、
人間の真実を浮き彫りにしている作品だ。
- 映画
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