映画・演劇・本・テレビ、なんでも感動、なんでもレビュー!

  1. 映画
  2. 20 view

「柳川掘割物語」と「生きる」


 送料無料 DVD/ドキュメンタリー/ジブリ学術ライブラリー 柳川堀割物語/VWDZ-8518
九州の柳川といえば、
高校野球に出てくる「柳川商業」が有名。
あと、掘割を行き交う小舟の映像も、時々見ることができますよね。
あの掘割。
水の都・柳川のシンボルのように思っていましたが、
なんと!
昭和50年代には生活排水のためにドブ川と化してゴミがたまり、
市は「埋め立て」を決定します。
それに内部から異議を唱えた一人の係長がいた!
子どものころ、友だちと泳いで遊んだ掘割。
400年という長きにわたって柳川の町の生活や産業を支えてきた掘割。
それを
「汚くなったからフタをする、
「どうせ汚いのだから下水道にする、
 そんな考え方をしていいはずがありません」
たまたま「環境課」というところにいたということもありましょうが、
この方、
まずは住民の理解を得よう、と100回以上住民との対話集会を催し、
汚いから埋め立てようっていう掘割に自ら肩までつかってゴミや水草を排除し、
とにかくがんばる。
そのがんばりように、
住民も次第に心が動かされていきます。
「あんたがそこまでやるなら……」
そして、
市もとうとう、埋め立てを撤回、
掘割の保全と整備を検討するのです。
スタジオジブリの宮崎監督や鈴木プロデューサーとの出会いは、
昭和60年代。
ジブリは実写でこの柳川掘割の復活をめぐる話を
ドキュメンタリーとしてフィルムにおさめます。
「トトロ」や「ぽんぽこ」に通じるものを感じますね。
この話は、
NHKの朝のニュースの中で知りました。
今も柳川の掘割は、定期的に四日間かけて水を抜き、
汚泥の中に人々が入ってゴミや水草を撤去しているとのこと。
あの係長さんは10年ほど前に亡くなられましたが、
奥様は今年も清掃に参加されていました。
(72歳とは思えぬ若さ! 昔の写真が出たらチョー美人!)
これは実話ですが、
話を聞けば聞くほど、黒澤明の「生きる」をほうふつとさせます。

 【DVD】生きる邦画
こちらは、掘割でなくて、公園ですが。
柳川掘割の話を聞くと、
ただのファンタジーではなくて、
「本当にいるんだなー、こういう公務員」っていう
じわーっとした思いにかられます。
*この前「大雷蔵祭」がありましたが、
 今度黒澤作品の「全部やる!」的映画祭がありますよ~。
3/23の黒澤明監督生誕100年を記念して、
黒澤明監督の全30作が3/27~4/16まで、
東京・日比谷のTOHOシネマズ・シャンテで上映されます。
東宝、大映、松竹モスフィルムなど会社の垣根を越えての一挙上映だそうです。
詳しいスケジュールはこちらをどうぞ。
私は「羅生門」や「七人の侍」を大画面で見てみたい。
そういう時代に生まれてませんでしたからね。
まだテレビという文化が普及し尽くす前、
まだカラーという文化が普及し尽くす前、
ビデオとかDVDとか、そういうものがなかった時代。
「映画館で見る」ことしか前提になかったときに作られたフィルムは
その大きさでこそ光と影のマジックの真の魅力を
堪能できると思っています。
お時間のある方、ぜひどうぞ。

映画の最近記事

  1. 「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」

  2. 紀里谷監督のインタビュー記事をアップしました

  3. 「FOUJITA」~藤田嗣治の戦争画を考える

  4. ガメラ、ゴジラのいる映画館前のレッドカーペットを歩く

  5. 「ザ・ウォーク」

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/nakanomari/gamzatti.com/public_html/wp-content/themes/zero_tcd055/comments.php on line 145

PAGE TOP