有吉佐和子原作、木下恵介監督の1964年作品。
明治末から昭和40年くらいまでを、一組の母娘の葛藤の生涯を通じて描いています。
関東大震災や空襲、東京裁判などの戦後生活も織り込まれています。
翻弄な母を嫌いながら捨てきれない娘に岡田茉莉子が扮し、
娘を置いて出奔したり芸者に売り飛ばすなどした薄情さを棚に上げ、
長じた娘に甘え続ける身勝手な母は乙羽信子が演じています。
この乙羽信子が凄い。胆の座った女を演じたらピカ一。
老け方も、年増の艶やかさも、見事です。許せないひどい母のはずが、なんか憎めない。
また、カメラワークが秀逸。
ロングの静止画面には、風景や神社や障子越しの家の庭などがすっぽり収まって絵のように美しい。
その絵の中の人物が動き出すという感じです。
大震災をはさんで二部に分かれていますが、長さを感じさせません。
劇化もされてますね。
それにしても、40才そこそこで「着物が派手」と言われる「母親」乙羽さんを見ながら、
女って、つい最近までホントに抑圧されてたんだなー、とびっくりしてしまいます。
いろいろ問題はあるでしょうが、
女性にとって今ほど自分らしく生きられる時代はないことを再認識させられました。
この作品は以下のDVDボックスに収録されています。
木下惠介 DVD-BOX 第5集
- 映画
- 9 view
この記事へのコメントはありません。