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「ONCEダブリンの街角で」

ダブリンでストリートミュージシャンをやっている男と、
そのダブリンで暮らすチェコ人の女性との
音楽を通じた愛の交歓をやさしく描く音楽映画「ONCEダブリンの街角で」。
ダブリンで音楽映画といえば、「コミットメンツ」を思い出す。
実際、
主役のグレン・ハンサードは、「コミットメンツ」に出演しているのだ。
あれは、北アイルランドという閉塞したコミュニティにあって、
その鬱屈を吐き出すような若者たちのロック魂が描かれていた。
ダブリンの町の暗さ、貧しさが際立っていた。
今度もダブリンはさびれた雰囲気を漂わす。
そんなダブリンに、ダブリンより貧しいチェコから働きに来ている人々がいるのだ。
電話も引けないアパートに、チェコ人たちが共同で住んでいる。
テレビのある家は女性の部屋一軒だけ。そこにみんなで集まる。
彼らに比べれば、
携帯を持ち、ポータブルCDを持ち、
父のものとはいえ家がありバイクに乗っている主人公は、
ずっとずっと豊かにさえ感じてしまう。
ロンドンで一旗挙げようと、
男はレコーディングをする。
寄せ集めのようなバンドと、やる気なしのディレクター。
そのディレクターを通じて、
彼らの情熱が形になっていく。
大好きな音楽に関われる歓びに浸りながら、
明日への不安で押しつぶされそうな花売り娘。
ストリートミュージシャンにはまだ夢があるが、
養う家族を抱える花売り娘に、将来はない。
生きる歓びとは、いったい何だろう?
なけなしの金で音楽を紡ぐ二人。
自分のことより、相手のことを思いやる穏やかで不器用な二人の愛が、
グレンの音楽とともに心にしみわたる。
監督・脚本のジョン・カーニーもミュージシャン。
主演のグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァは、
実際にコラボアルバムをリリースしている。
11月3日、渋谷シネ・アミューズで公開。

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