現代の吟遊詩人と謳われたプロテスト・ソングの神様ボブ・ディランを、
6人の異なる俳優で描くという斬新な映画が
「アイム・ノット・ゼア」。
その6人の顔ぶれが、これ。
クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、リチャード・ギア、
ヒース・レジャー、ベン・ウィショー、マーカス・カール・フランクリン。
何といっても女性でディランを演ずる、という“奇策”にのったケイト・ブランシェットがいい。
繊細で、植物的で、不健康で、瞳の奥だけが燃えているような男を好演。
ヒース・レジャーは私が試写を見た直後に亡くなってしまい、かなりショックだった。
彼の演じたパートも印象が強かったもので。
俳優としての魅力を入り口に結ばれた男女が結婚、
「仕事が順調→成功→多忙→すれ違い→???」と
ある意味お決まりのコースを辿る。
自分の中のあふれる愛が、相手に届かないもどかしさ。せつない。
とはいえ、私はディランにそれほど詳しくない。
ディラン語録満載(らしい)のこの映画、
ディランのファンが見たら「ああ、あの場面」「あのコンサートのときの」の連続らしい。
私はボロボロのギターケースをもって貨車で旅する黒人の少年、マーカスのディランが好き。
見た目は少年なんだけど、出てくる言葉はオトナ顔負け。
そんなディランを、周りの大人たちがどう扱うか。
周囲の反応から浮かび上がってくるディラン像が、寓話的によく出ていた感じがします。
それにしても…。
流れるディランの曲を聴きながら
「あ、これ吉田拓郎の…にそっくり!」などと反応してしまった私。
フォークに限ったことじゃありませんが、
60~70年代の日本のミュージックシーンは、アメリカの影響を色濃く受けていることを、
改めて感じた次第です。
GWから各地で公開されています。
ストーリーを楽しむというよりは、
ディランの「風」に顔をなぶられるようにして感じる映画。
Don’t think! Feel!
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