父 パードレ・パドローネ
サルディーニャ出身の言語学者ガヴィーノ・レッダの自伝を基にした映画。
(1977イタリア。監督・タヴィアーニ兄弟)
カンヌでパルム・ドールを受賞している。
パードレとは父。パドローネとは主人。
イタリアのサルディーニャ島という、過酷な土地の閉鎖的な農村において、
息子にとって父権とは絶対的なものである。
思いなやむ男に重くのしかかるような色彩のパンフレットにひかれて
今は閉鎖されてしまった三百人劇場に見に行った。
当時、私は大学生。
親という壁と、私も闘っていたのかなー。
この映画で私がもっとも好きなシーンは、
主人公が長じて田舎を離れ、軍の寄宿舎で勉強をするところ。
島のなまり(ほとんど別言語)をバカにされながら、
必死で辞書と格闘する。
学校の広場を歩く学生たちを俯瞰で撮り続けながら、
そこに辞書を読む主人公の声が重なる。
Aのつく言葉。Bのつく言葉。
具体的にはもう忘れてしまったけど、
日本語でいうなら
最初は「水、みかん、味噌汁、店・・・」というのが、
そのうち「蜜月、未知、民主主義、・・・」と変わっていく。
ただ、それだけのナレーションで
主人公の勉学の進行度や関心事、そして時の流れを表しているのだ!
子ども時代、山羊の乳しぼりをさせられ、
何度やっても山羊にバカにされバケツにウンチされちゃって
全部捨てなくちゃならなかったエピソードも忘れがたい。
大地に根ざして生きることと、
教養を身につけて歩くことと、
どちらも大切に思える映画です。
今観たら、けっこう「パードレ」の方に感情移入したりして!
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