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「アルナーチャラム 踊るスーパースター」


もし1000億円もらったらあなたなら何に使う?
アルナーチャラム 踊るスーパースター
も、私の大好きなラジニカーント主演です。
主人公はやっぱりみなしご。
「マハラジャ」と違うのは、物語のラストじゃなくて、始めの方で
主人公が「すごい大金持ちの生き別れの息子」とわかるところです。
そして、父親の遺言で、全財産を相続して、
悪い人から父の会社を守ります。
「30日で10億円使え」が相続の条件だった(!)ので、
彼はデパートの上から下まですべての商品を買い取って、
貧しい人々にほしいだけあげましたとさ。
めでたしめでたし。
・・・と、いつもながら、あらすじだけかいつまむと、
単純すぎるように感じますねー。
でも、実際に映画を見ると、
単純じゃないんですよ。
私は1999年、レディースデイにこの映画を含め、2本のはしごをしました。
もう1本は「エリザベス」。
メジャーな映画でしたが、私「アルナーチャラム」の方が面白かった。
ていうか、実際話が深かった。
人物の掘り下げが緻密。
人間関係も、単なる勧善懲悪にみえて、一筋縄ではいかない。
特に「ぼくは遺産が欲しいんじゃない、でも、
誰が父親かは知りたい」と、遺言ビデオを見るくだりなんか、
泣きそうになりました。
「お母さんとお父さんは、愛し合っていたんだね、そして僕が生まれてきたんだね。
お父さんは、僕やお母さんを捨てたんじゃないんだね」
それを確かめて、彼は最初は遺産相続を拒否するのです。
1000億円に目のくらまない男! かっこいいでしょ。
インドの話に「みなしご、実は落し胤(だね)」みたいな話が多いのは、
きっと本当にたくさんの「みなしご」がいて、
彼らは今の自分の状況から抜け出す唯一の手段として
「実は…」という一発逆転の夢に賭けているのではないでしょうか。
カースト制で自分の生きる世界が決められている社会にあって、
「みなしご」は出自が不明なだけに、
インドで一番未知の未来を持つ人たちともいえます。
もしかしたら、今にも誰かが親の遺言片手に
自分を探しに来てくれるんじゃないか? 
そうした空想は、彼らにとって、
ずっと身近で現実的な夢なのかもしれません。

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