東京国立博物館は、広大な敷地内に「本館」「東洋館」「表慶館」「平成館」
そして「法隆寺宝物館」があります。
今日は、その中から「法隆寺宝物館」を。
というのも、
1年に春、夏、秋、それぞれ1ヶ月しか公開していない「伎楽面」が
今行くと見られるからです。
東京に法隆寺の宝物館があるのはなぜ?
これは、明治11年(1878)、
法隆寺伝来の宝物のうちから皇室へ献上されたものが、
戦後国有となり、
そのうちの300件あまりが東京国立博物館で保管されるようになったというもの。
昭和39年(1964)に宝物館が開館しましたが、
この時は保存状態を良好に保つため、週に1日しか公開されていません。
現在の建物に改築されたのが平成11年(1995)、
以来、他の館と同じく毎日公開されています。(月曜休館)
「皇室への献上品」というだけあって、
暗い館内に整然と林立している仏像の部屋はモダンな中にも荘厳。
マホガニー調の腰高の柱の上に鎮座した保存のいい小さめの仏像が
一体一体細いスポットライトにそれぞれの足元から照らされ、
お寺のご本尊というより、皇室の人々一人ひとりの守り本尊、といった風情。
温かい雰囲気でした。
ガラスで覆われているとはいえ、お顔もじっくり拝見できます。
その部屋の後ろにある伎楽面の部屋がまたすごい!
仏像の部屋とはうって変わって白い壁面に蛍光灯の光の中、
クスノキやキリの木をくりぬいて作られた伎楽のお面(というか、かぶりもの)が
30面くらい陳列されています。
仏像と同じく、ほとんどが7、8世紀に作られています。
聖徳太子とか、藤原鎌足とか、中大兄皇子とか、
そういう人と同時代に生きた人々がかぶって踊り、演じたと思うと、
もう震えるほど感動!
7世紀までの面がフシギの国から来たような、のっぺりした面持ちであるのに対し、
時代が下っていくと顔のしわなど、表情がリアルになっていきます。
技術が発達したというより、
日本人になじんだ顔になっていったという移り変わりで、
お面作りという文化が日本のものになっていく過程が垣間見えるようでした。
新しい宝物殿は、
宝物の保存のため、陳列室は照明を低く抑えてありますが、
その分、ロビーや階段室などは外からの光がたくさん入ってくるよう設計され、
外の緑や前庭の噴水などが細長い縦のスリットを通して鮮やかに目に入ってきます。
仏教史や法隆寺史、日本美術に関する本が並べられている資料室には
機能的なデスクとチェアが並べられ、
廊下やロビーにはソファも用意されています。
ゆったりした気分を味わえる、すばらしい空間。
飛鳥時代の夢の余韻を十分楽しめます。
1階奥にはホテルオークラのガーデンテラスもあり、
窓際は全面ガラスなので、
外の景色を眺めながらケーキセットや喫茶でくつろぐのもよし、
軽食も楽しめます。
通常展は、大人600円ですべての館を見学できます。
高校生以下は無料!
子どもを連れて行った大人は、100円引きです。
特別展については料金体系は別。この割引もないので、ご注意を。
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