玉置浩二は歌手である。
その声は、誰をも震えさせずにはおかない。
「じれったい」から始まり、「ワインレッドの心」を通り、
新曲「蒼いバラ」まで、
ああ、もう玉置の声を浴びて私は卒倒しそうだった。
人をとろかすフェロモンが、5000人をめろめろにする。
男でも、女でも。
玉置浩二は、歌手である。
歌っているときは、もう人間ではないのだ。
彼が人間に戻ったとき、どんな男であれ、何をしていようと、
そんなことは関係ない。
ただ歌手でいてくれ!
歌手でいてくれさえすれば、もう何もいわない。
そんなことを心のなかで叫びながら終えた「朝ヒット」コンサートでしたが、
トリに出た安全地帯があまりにすごすぎたのでこういう書き出しになっただけで、
それまでの4グループも、本当に素晴らしい出来でした。
中野サンプラザくん→杏里→鈴木雅之→大黒摩季→安全地帯は、
ゴージャスすぎるラインナップ!
会場は「年齢層が高い」。
もちろん若い人もいたし、「年齢層が広い」が正しいかも。
でも、中高年や初老のカップルが(私も含め)目立ちました。
通常のコンサートより、明らかに「中年男」が多い。
でもみんな若い時分にギターやったりバンドやったり、
そういう世代ですから音楽にはウルサイ世代ともいえる。
ハゲてても、白髪でも、背中まがってても足おぼつかなくても、
いい歌には反応します。
燃えてくれば立ちます。
オーディエンスも最高でした!
中野サンプラザくんの「大きな玉ねぎの下で」がオープニングで、
私は「九段下の坂」の人並みや夕日、「千鳥が淵」に映る月影や、
そして、武道館ではなかったけど、大好きな人のために買った席が
カーテンコールでもぽっかり空いていた思い出が
本当にフラッシュバックしてきました。
杏里は前よりずっとうまくなったとさえ感じたくらいです。
特に高音がまったくぶれず、力強く突き抜ける。
ソウルフルな現代風アレンジもよし、
「オリジナル」にこだわった「オリビアを聴きながら」では
声も「オリジナル」時代くらい初々しくつくってくれて、
大人のプロの歌手として超一流だと思いました。
鈴木雅之は
ソロナンバーだけでなく、ラッツアンドスター時代の「め組のひと」、
シャネルズ時代の「ランナウェイ」も歌ってくれて、
会場は1980年の熱気でいっぱい!
だからといって「昔はよかった」ではなく、
新曲もいい曲・いい声で、
デビュー30周年を過ぎいよいよ現役であることを証明。
桑マンのペットも美しかった。哀愁漂い、胸に響いた。
「この魅力、このパワー、このパフォーマンスで3番目ってどうよ?」
「もう、この熱狂じゃ、次の人はやりにくいんじゃない?」
って、思ったら、
次の大黒摩季がもう、もう、もう、もう、もう、
黒のレザーベストと黒のブーツに短パンで登場、
白い太ももガン見せで初っ端から300%飛ばすアネゴ旋風、
100歳の人が見てても、おのずと体はスタンダップ!っていうくらい
会場は野外ロックフェスか?っていうノリとなった。
動く、踊る、でも声は美しい。
合間のトークではしゃがれてるのに、歌うとのびやか。
ガンガンの「あなただけ見つめてる」「熱くなれ」も超よかったけど、
静かに歌った「あぁ」は心にしみたな~。
歌詞にやられた。心からのエールを感じた。
そして「ら・ら・ら」の大合唱は、圧巻。
彼女がトリでも、きっとみんな満足して帰っただろうって思う。
でも、
こんな彼女の時間さえ、「前座」にしちゃうんだから、
ほんとうに「安全地帯」はすごすぎるのだ!
玉置さんだけじゃない。
メンバーのギターも最高だった。
おかえり、安全地帯。
これからも、「ずっと、ずっと…」歌ってください!
*昨日はテレビカメラが入っていました。
まだ地上波かBSかCSか予定は決まっていないそう。
5000人だけが見るんじゃ、日本の文化の損失ですよ!
こんなに歌のうまい人たちがいて、
その人たちが長いこと歌を続けていて、
そして彼らを、歌を愛する人たちが、こんなにいる。
この両者を大切にしないとね。
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