女学生だった彼女はピアノがやりたくて、東京の音楽学校を受験します。
つまり、それが今の東京藝術大学の前身。
そしてその頃の学び舎にして日本発最古の洋楽式コンサートホールが、
今上野公園の一角、国立博物館の向い側にして東京都美術館の隣にある木造の建物
「旧奏楽堂」です。
この建物は、「純情きらり」でも時々出てきましたね。
これは本来藝大のキャンパスの中にあったものですが、
昭和40年代から、老朽化のため、明治村に移築する話が進められていました。
これに対し、
建築家や音楽家を中心に「現地保存」を求める声が高まり、
昭和54年、「奏楽堂を救う会」が結成されます。
いったんは正式に明治村に行くと学内で決議までされてしまう!
ところが、
当時の台東区長が区内に移築できないかと申し入れたところから、新たな展開が。
区では墨田公園での移築保存を考えていたのに対し、
「救う会」は上野公園内を強く要望。
でも、
上野公園って、台東区にあるけど都立の公園だから、
区長にはそんな権限ないんです。
いろいろな人たちの熱意が、モノを動かす(動かさない?)ということってあるんですね。
時の都知事から
1.国指定の文化財とする
2.一般公開する
という条件付きで、上野公園内への移築保存が許可の運びとなったのです!
そして今。
私たちは、300円を払えば中を見ることができます。
山田耕作をはじめ、これまでの卒業生たちの軌跡もたどれるし、
解体・移築した時の写真や、解体して現在は使われていない構築物の一部も展示されています。
二階のホールは今も現役。
プロのコンサートも開かれますが、
日曜の14:00と15:00、木曜の11:00からは、
藝大(大学院含む)の学生による演奏会が、入場料の300円だけで聴けるのです!
私が行った第一、第三日曜日は、チェンバロ演奏です。
第二、第四日曜日は自慢のパイプオルガン。
これも移築にあたり、「パイプオルガンをよみがえらせる会」が結成されて
昭和3年に寄贈されたものを修復して、そのまま使っています。
(パイプオルガンのパイプは、1本1本手作りだって知ってました?)
木曜は、管楽器を初め、いろいろな楽器の演奏が楽しめます。
あめ色の木造内装の中で、静かに音楽に身を任せる30分。
エアコンも効いていて、
この季節、上野の森を散策したり、美術館めぐりの途中で一休みにも最高です。
心も体もリラックスできますね。
DVD 純情きらり 完全版 DVD-BOX 1
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