それぞれが自分の力を出して、レベルの高い争いとなった
男子フィギュアスケート・ショートプログラム。
宣言どおり、4回転ー3回転の完璧なコンビネーションのプルシェンコは
本当に王者の貫禄。
でも、
プログラムとしての完成度はそれほど高くなかった。
「アランフェス協奏曲」って、
かつてはいろいろな人が使って(本田武史も)、
ちょっと使い古された感じかな。
それも、振りが曲に合っていたかというと、そうでもなかったような…。
実は、私は中継を携帯で見ていたんだけど、
イヤホンを忘れたので、マナーモードで文字放送で見ていたんです。
夜、曲が「アランフェス」だと知ってちょっとビックリ。
全然違う、もっとアップテンポの曲のように勝手に想像していたから。
あのしっとりした曲想にはまったく関係なく、
「滑れるぞ~」「回れるぞ~」みたいな組み立てだったような気がします。
それに対して4回転を入れなかったライサチェクの「火の鳥」、
今まで見た彼の「火の鳥」のなかで、一番の出来だった!
もともと音楽的なセンスが高く、それを生かして
曲調の変化をすべて拾って表現していたけれど、
何せあの長い手足のコントロールが時としてうまくいかず、
流れるような、とならないことのほうが多かったような気がします。
気負いすぎた演技もたくさん見てきた。
でも、今日は違った。
フィニッシュしたとき、彼はとても喜んでいたけれど、
自分でも最高の演技が、オリンピックという舞台でできたことが
本当にうれしかったのだと思う。
得点が出て、涙ぐんでましたね。
このライサチェクに比べてしまえば少し小振りかもしれませんが、
やっぱり高橋大輔はすごい。
何度も書いているかもしれないけれど、
日本人がステップで世界を魅了する日が来ようとは、
想像だにしませんでした。
このプログラムのイカすところは、緩急、静と動、直線と曲線のコントラスト。
スポーツなのに、彼のフェロモンな体のよじりとまなざしに、
コロッといってしまいそう。
滑っているというより、踊っている、というのが正しい。
この3人の差は1点ないんだから、
すべてはフリーで決まる、ということですね。
4年前、大ちゃんはSPが一番滑走、フリーは最終滑走っていう
トンでもないくじ運だったんですが、
これもいい経験だったかもね。
あのときの、「オリンピック、来ちゃったよ」的な舞い上がり方がウソのように、
彼には落ち着きと風格が出てきましたね。
怪我も乗り越えて今そこにいる大ちゃんを、私は心の底から応援してます。
もちろん、織田くんも。
あのヒザを使った柔らかい着地のジャンプは天下一品。
あさっては、4回転して、ソフトランディングして、プルシェンコを打ち負かして!
もう終わったことだけど、
この「死の舞踏」っていうプログラム、彼に合ってるかな~。
コミカルなのがいいとも思わないけど、
彼のやさしさとか、心の温かさとか、そういうものとシンクロするような、
そういうプログラムで彼を見てみたいです。
そして、小塚くん。
携帯・音無しでみる限り、彼のスケートはとってもよく滑っていたし、
動きもダイナミックで私は最近の小塚くんのスケートの中では
一番よかったと感じました。
そのわりに点数が伸びなくて、
もちろんアクセルジャンプの着地の乱れも大きいですが、
そんなに上位と離れていたかな~、と正直ナットクいってません。
フリーでは自信をもって、
今日のようにのびのびと滑り、一泡ふかしてもらいたいです。
・今日の一言。
「自分の力を出し切ることだけを考えていた」
by 吉田選手(女子スピードスケート500m・5位入賞)
「オリンピックで大切なのは、自分のできることを完璧にやりきること」
by プルシェンコ(男子フィギュアスケートSP・1位)
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