とうとう3回を数えるまでになった「あらすじで楽しむ世界名作劇場」!
今回の白眉はにしおかすみこの「舞姫」(森鴎外)。
留学先のドイツで知り合った踊り子エリスと恋に堕ちながら、
結局は出世を優先して日本に帰国を選択、
捨てられたエリスは気がふれてしまう、という
「許せない男ナンバーワン」豊太郎(鴎外の体験を元に書かれたとも言われる)の物語である。
にしおかは、この「舞姫」を、女性である「エリス」の側から紹介したのだが、
狭いスタジオでの鬼気迫る一人芝居(withスライド)は、
女の喜び、幸せ、そして不安、怒り、絶望がテンションMAXで表現されて、
非常に見ごたえがあった。
エリスの目を通した物語に仕立てながらも
「堅物」だった豊太郎がなぜエリスとの恋にのめりこんでいったか、
そして、結局エリスを守りきれなかったのか、
豊太郎の心理をしっかりと把握して紹介したから、
「舞姫」をもちろん読んだことのある学者先生の茂木健一郎さんも
「豊太郎は、弱い男だったんだね」と再認識したのだろう。
鴎外の、淡々としてムダのない(なさすぎ?)文体、それも古文調というとっつきにくい小説を
非常に身近なものに置き換えつつ、明治の、ドイツの、という雰囲気も残して見事だった。
千原ジュニアはその「才能}(?)を買われてほぼレギュラー化。
今回はスウィフトの「ガリバー旅行記」。
小人の国に行ったところしか知らない人が多いので、
さまざまな国の様子がわかりやすく説明され、面白かった。
「ラピュタ」「ヤフー」など、
ここからとられて今日常使うようになった言葉の「もと」もきちんと押さえている。
ケンドーコバヤシの「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)もわかりやすかった。
カラマーゾフの兄弟(上・中・下巻)改版
大作だし、難解だし、
読むだけでも大変だっただろうとお察しする。
恥ずかしながら、私、未読。
新訳・カラマーゾフの兄弟(全5巻)も出たことだし、一度はトライしなくてはと思いつつ・・・。
今回全体像がわかったことで(相関図は本当に明解だった)敷居は低くなったものの、
やはり「ネタバレ」っていうのは、読書の意欲をそぐんだということを再認識。
えっ、最終的には、結局それだけの話なわけ?・・・っていう軽い失望が、
私の中に生れてしまった。
ものすごーく難解で、
ものすごーく重厚で、
だからこそ読み終えた時の感慨も大きくなる、みたいな
未踏ではあるが、目の前に常にそびえるエベレスト、みたいな
そんな「期待からくる魅力」は失せてしまった。
世の文学青年たちに「必読書」と言わしめる本当の理由を知るには、
もう実際に読み出すしかない。
*フランソワーズ・サガンの「悲しみよ、こんにちは」については、
すごい人気の書だったので読んだことはあるんだけど、
ちっとも共感できなかった。
今でも女性にもっとも人気がある小説っていうのは、本当なのかな。
今回ドラマ仕立てのプレゼンを見ても、
どこにでもあるアンニュイなドラマとどこが違うの?って感じだった。
サガンの小説は、「あらすじ」じゃなくて
「文体」にこそオリジナリティがあるのかもしれない。
(もう一度、読んでみないことには、結論下せません)
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