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「スーパーストーム」

きのう、「スーパーストーム」というドラマの第一回を見ました。
実はBSハイビジョンでは、すでに7月に放映していたものらしい。
ニューオリンズに壊滅的な被害をもたらした巨大ハリケーン「カトリーナ」。
こんなことが再び起きないよう、
気象学のエキスパートたちでチームを作るという
一大プロジェクトの行方を追った近々未来ドラマです。
昔から、雨乞いは神頼みの中でも大きなテーマでした。
それを人間の力でどうにかしようという試みも、前々からあり、
すでに中国では現在、
雨が降りそうで降らないところに小さなロケットでヨウ化銀を打ち込み、
それなりに小規模ながら雨を降らせているようです。
もっとも、それらは「雨が降りそう」な状態にきっかけを作る、というもので、
決して日照りの続くところに雨雲を持ってくるというのとは違うのだけれど。
その「ヨウ化銀」をハリケーンに何箇所も投下することで、
ハリケーンの中に別の雨雲を呼び、
ケンカさせることでエネルギーを分散させ、
ハリケーンが巨大化する前に、盲腸よろしく「散らしてしまおう!」というのが、
このドラマで試みられる作戦です。
なんとアメリカらしいプロジェクトなの!?
この「ためになる」「美しい」「最高の」シナリオが
人間の叡知を集めて成功するストーリーなのかと思いきや、
最先端の気象予報プログラムを作った男が、実はこの計画に信を置いていなかったり、
幼い時にハリケーンによって家族を失っている者もいて、
「自然の力を人間がコントロールすること」がどんなに無謀かをふまえた上で話は進んでいきます。
これは、国際共同制作で、
NHK(日本)、BBC(イギリス)、Discovery Channel(アメリカ)、ProSieben(ドイツ)が
関わっています。
「カトリーナ」によってこのドラマができたのですから、
アメリカ人にとって「カトリーナ」が、どれだけ衝撃的だったか。
でも
「じゃあ、カトリーナを打ち破ればいいんだ!」になってしまうその思考回路、
どうにかならないものでしょうか。
大きなハリケーンが次々とアメリカ本土に上陸するようになった原因は、
すでに解明されつつあります。
海水温度の上昇が、ハリケーンの巨大化に大きく関わっている。
つまり、すべては地球温暖化に端を発しているのです。
一方でせっせと地球の温度を上げながら、
自分たちのせいで大きくなったハリケーンを水際で防ごうという考え方は、
ほとんどモグラたたきか、自分の足を食べるタコと同じのように思えます。
10年ほど前、日本でコメが大不作だったことがありました。
未曾有のコメ不足にタイ米を輸入したり、大騒ぎ。
それまでは「古米」「古古米」などと敬遠されていたものも
「備蓄米」と名前を変えて、大切な食料政策と考えられるようになったのです。
その時、
私は初めて宮沢賢治を理解しました。
「寒さの夏は、オロオロ歩く」
人間は、そうやって、自然の中で生きてきた。
どうにもならないことってあるんだ、と。
もし、人間の力で改善できることがあるとすれば、
それは、人間の力で曲げられてしまったところを修正することなのではないでしょうか。
このドラマは3回シリーズ。
アメリカの意識は、どのように変わるのか、あるいは変わらないのか。
物語の終わり方に、私は大変興味があります。

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