先週から始まった、「銭ゲバ」。
死屍累々たる阿鼻叫喚の地獄絵の、
半裸の女の腹から生まれた赤ん坊の行く末を描いた漫画「銭ゲバ」を
今の世の中にどう置き換えてドラマ化するのだろう、と
半信半疑ながら、
主演・松山ケンイチ、脚本・岡田恵和に惹かれて見た。
(追記:これは私の勘違いみたいで、
脳裏にからみついて離れない上記の書き出しの漫画は、
同じ秋山ジョージが「銭ゲバ」と同時代に書いた「アシュラ」のようです)
貧乏が、こんなに身近になっていたとは!
番号で呼ばれる派遣労働者たち。
リアルだ。
給食費が払えずに叱咤されるなぞ、とうに昔のことと思っていたが、
医者に払うお金がなくて、薬も買えない絶望は、
今、そこにある事実である。
「あの人たちと私たちと、どこが違うんだろうね」
「くやしいね。貧乏って、くやしいね」
風太郎の母親(奥貫薫)がつぶやく一言一言が、
妙に心に突き刺さる。
そう、身にしみるのである。
時代が、人の心を寒くさせている。
同じ「無職」だって、
「専業主婦」「家事手伝い」と言っていればよかった時代もあった。
だが今は、
「パート主婦」というよりは「ワーキングプア」だ。
人の稼ぎにぶら下がっていなければ生きてゆけない。
ひとたび夫に何かあったら、
あるいは離婚したら、
途端に路頭に迷ってしまう・・・そう考えずにはいられない時代が、
今、ここに。
同じ職場で机を並べ、同じような仕事をしているけれど、
あちらは1000万円プレーヤー、隣は契約社員、
こちらはパートの、時給1000円。これでも時給としては高い仕事だ。
「あの人と私と、何がちがうんだろうね。
同じ人間なのにね」と、つぶやいてみたくもなる。
もちろん、これまでの生き方の違いが、そこに表れているのも確かだし、
職種の違いが給与の違いになることもあって当然だろう。
しかし、
「金」で判断されると、そんな数字としての価値しか自分にはない、
そんなふうに思わされてしまうのも事実なのである。
お金がない、ということは、
とっても心細いことなのだ。
「金のために」母を亡くした風太郎が、
これからどう「金」に復讐していくか。
それとも、「金」にほんろうされるのか。
まだほんの一部しか出していない、松山ケンイチのこれからの「顔」が楽しみだ。
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