1時間15分という超拡大版だった初回の大河ドラマ。
清盛の父親・忠盛役の中井貴一が大活躍で、
途中、パイレーツ・オブ・カリビアンかという場面もあった。
それにしても、
映画にドラマに引っ張りだこの中井さん、
最近は渋い役が多かったが、はつらつとした若武者姿がカッコよかった!
その中井パパが、まえだまえだのジュニア清盛に言う。
「生きたかったら、強くなれ!」
この場面を見て、
私は「踊る大走査線」を連想しました。
長さんが織田裕二に向かって言うではないか、。
「青島、お前は偉くなれ」と。
世の中に、ストーリーは23しかない、という話があるけれど、
今回の清盛物語の軸は、これかな、と。
「地回りデカ(北面の武士)は、本店(貴族)の尻拭いをするところじゃない」
「本店がでかい面できるのも、オレたちが地べた這いつくばって捜査しているから」
「清盛、正義を貫きたければ、偉くなれ」
「偉くなって本店に行け(殿上人になれ)」
…ということでしょうか。
小学生のころ、初めて読んだ子ども向け「平家物語」。
最初のシーンは、
忠盛が武士として初めて殿上人となり、御殿に上がるところでした。
そのときの、忠盛の高揚感、晴れがましさは、
今でも私の心の中に焼きついています。
武士が武士として政権を取ったのは、鎌倉幕府からと言えるでしょう。
清盛は、「本店」の警察庁長官になって閨閥をつくり、
今で言えば首相の舅にもなったいうことで、
組織をぶっつぶした人ではない、ということですね。
序盤で役目を終える人々総出演の初回は、
役どころにも重鎮をちりばめ、見ごたえ十分。しかし、
この先、大河ドラマがどのように展開していくのか、
主役の松山ケンイチがいまだ登場していませんので、評価はできません。
いずれにしても、私は脚本がすべてを握ると思っています。
というのも、初回にして気になる点がいくつか。
そのうちの2つを書きます。
武士は王家の犬、は本当かもしれませんが、
源氏も平氏も、もとはといえば、その血筋は天皇家から。
あまりに子孫が多いので、宮家を整理して、
天皇家は継げない人々を家臣としたのが始まりです。
だからこそ、
源氏も平氏も必死で王家に仕えるわけだし、
「もとはといえば」が彼らの誇りであり、矜持なわけです。
そのあたりが、伝わってこなかったな~。
もう一つが、ファーストシーン。
壇ノ浦で平家が滅したことを知って勝鬨を挙げる家来たちに頼朝が、
「自分でもどうしてそんなことを言ってしまったのかわからない」けれど、
清盛を擁護してたしなめるところから始まった。
これって、どうよ?
父親は殺されるし、自分もすんでのところで殺されそうだったし、
なんとか命は助かって今は源氏の頭領としてまつりあげられているけど、
でも妻・政子の外戚あっての自分の地位だし、
様々な危機をどうにかこうにかくぐりぬけて今ある頼朝が、
この後、腹違いとはいえ弟にあたる義経を、脅威とみなして陥れる頼朝が、
いまだ「すべてを掌握した」とは言えぬ頼朝が、
命を賭けて戦い、これからも自分のために一所懸命に働いてくれようという
その家来たちに、
あの叱咤はあるかいな???
…と思ってしまいました。
あるいは「すんでのところで殺されそう」ではなく、
「すんでのところを救われた」から、あのセリフにつながったのか?
この先、頼朝(岡田将生)はナレーションとして毎回出ます。
どういうふうに清盛と頼朝の関わりを描いていくつもりなのか、
そこに答えが待っている、と期待しましょう。
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