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木曜ナイトドラマ「リセット」

読売テレビで、木曜の深夜やっているドラマ「リセット」
ココリコの田中直樹がアンリという天使のような悪魔のような存在でレギュラー出演、
人生のターニングポイントで選択を間違ったと後悔する人間に近づいては、
「リセットします?」とケータイで訊いてくる、という筋立てだ。
今週は、「盲目の恋」という、
音大でピアニストを目指す女の子・美央子のお話だった。
幼いころよりピアノに励んでいた美央子は11歳のとき、
トラックの冷凍庫から出られなくなった近所の女の子・麗奈を偶然見つけ、助ける。
それが縁でピアノを始めた麗奈とともに、音大に進んだ美央子は、
次第に「1番」の座を麗奈に奪われ始める。
ピアノでも、そして、恋でも。
(あのとき、麗奈を助けなければ…)
……そう思ったときアンリが現れ、「人生、リセットしますか?」と持ちかける。
そのあとどうなるかは、
「リセット」のサイトで現在配信中なので、
関心のある人はごらんください。(この回は4/16まで)
リセットして違う道を歩んだとしても、
なかなか思うとおりにはいかないのが人生。
そこでアンリはもう一度、美央子の前に現れる。
「もう一度、リセットしますか?」
アンリによると、リセットは2回まで。
つまり「やっぱり前に戻る」猶予は残されているのだ。
「第二の人生」では本音モードで、
エキセントリックな道を駆け抜けた美央子は、
そのときどんな決断をするのか?
この話には、もう一つの伏線がある。
それは美央子の母親の存在だ。
美央子の母の出番はそれほど多くない。
しかしその断片から、
彼女が美央子を支配していることは明らかだ。
小さいときからピアノを習わせ、完璧に課題をこなさせ、一番を目指させ、
11歳ですでに「ピアノがうまくて何でも一番の、優等生。美央子ちゃん」を作り上げた。
それが、
未央子のピアノを「ミスタッチはないが、魅力に乏しい」ものにとどまらせ、
先々どうしても「一番の私」にだけ存在価値を求める美央子をつくってしまった、と
このドラマは伝えている。
トラックの冷凍庫に迷い込んでしまうような、麗奈の自由奔放さ、
「美央子もやってるから私もピアノをやりたい!」を許す麗奈の母との対比。
美央子の「ないものねだり」は、単に「一番」や「恋人」だけでなく、
もっと自由になりたかった子ども時代そのものへの回帰も含まれている。
だからこそ、
ラストシーンは非常に意味深長だ。
そんな美央子の母親が、彼女なりの落とし前をつける。
多くのステージママ、
多くの「いい子」、必見。
実は私も、未央子に自分を投影しながらこの1時間を過ごした一人である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原作は山本まゆりの漫画で、複数の脚本が各回のシナリオを書いているが、
脚本監修などに関わっているのは
「世にも奇妙な物語」「ケータイ刑事」ほか、
数々のヒットドラマに参画し、新人作家の育成にも力を入れている脚本家・林誠人と
「笑っていいとも」から「スマスマ」「やっぱり猫が好き」まで、
放送作家としてのキャリアをひっさげ、舞台に映画にと活動を広げている福田雄一。
日常のスケッチ程度のネタに人生の機微を含ませ、
心に残るドラマに仕立てている。脱帽。
4月の改編以降、
急速に力の衰えが隠せなくなったテレビ番組の中で、
非常に光るものを感じた。
しかし、
これとて来週の第14話をもって最終回。
スポンサー離れの著しいテレビ業界の、明日は一体、どっちだ??

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