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辛抱、辛抱……

ずいぶん前ですが、
中学を出てすぐ日本料理の老舗に就職した
二人の男子を追ったドキュメンタリーを
見たことがありました。
一人はカンがよく、飲み込むが早い。
もう一人は要領が悪く、とろくて失敗ばかり。
しかし程なくデキがよかった方は辞めてしまいます。
同じことの繰り返しに飽き、
完璧を求める先輩のダメ出しに納得がいかず、
すぐ次の段階に進めないことに苛立ったためでした。
彼は即戦力を必要とする小さな中華料理店に職を得ます。
数ヶ月後、二人の元同僚は再会、
互いに料理をふるまいます。
既に調理場で活躍する者と
まだ下ごしらえしか許されない者。
しかし辞めなかった子の料理、そして振る舞い方もてなし方には品さえ漂い、
コツコツと地道に努力した者だけが身につけられる
「常に一定、そして完璧」が見てとれました。
共に学んだ頃、内心バカにしていた男、
自信なげでオドオドしていた劣等生が、
今や自分より遥か高みに位置すると知り、
呆然そして愕然とするかつての優等生。
自分には自分の生かし方がある、と
自ら言い聞かせるように言いおいて去るのですがが、
背中には隠しきれない後悔が表れていました。
私にも器用貧乏なところがあり、
その上飽きっぽく最後まで踏ん張れない。
だから、
この寂しい背中は私の背中を見るようでした。
若いときは、「繰り返し」や「細部」あるいは
「今まで続いてきたこと」
のなかに息づいているものの重要性には
なかなか気づけません。
「なんでこんなことを?」
現在に常に疑問を持てるのも
大切な才能。でも
「辛抱、辛抱」を素直に受け入れられるのもまた、
偉大な才能です。
もし周りにドジでタルい同僚がいたら、
ちょっと違う目で見てみて下さい。
成功するまで時間がかかるということは、
それだけ繰り返し練習したということ。
すべて一度でクリアしていく場合より、
体にしみついていくっていうこと、
ありますよね。
「あ~、なんかダメかも」
と心が萎えそうになるとき、
私はこの二人の男の子のことが
自然と思い出されます。
そして自分に
「辛抱、辛抱」と
お相撲さんみたいに言ってみます。

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