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ミッド・タウンの「パティスリー・サダハル・アオキ」

以前にご紹介したパティシエ・サダハル・アオキのブティックに
とうとう行ってきました!
東京・乃木坂にある東京ミッドタウンのガレリアB1にある方のお店です。
本当は青木氏がこれによってフランスで不動の地位を得たという
「ヴァランシア」というオレンジ系のケーキを食べたかったのですが、
季節モノということで、ありませんでした。
こうなれば、
「抹茶」をパリに広めた火付け役となったという「バンブー」か
禅寺の庭をイメージしたという黒ゴマ味の「ZEN」か、
どちらかを食するしかない!
新作発表での評判を聞きつけてやってきた、あのピエール・エルメが
試食後「グラン・パティシエ組合」への入会を勧めたという「ZEN」も捨てがたいし、
ショーケースとにらめっこしていると、
チョコレートケーキのヌメッとした黒の光沢にも惹かれたが、
やっぱり「抹茶でしょー」ということになり、
「バンブー」(750円)と、
パリでも右に出るものはいないというくらい人気だという
「ピスタチオのマカロン」(210円)を注文しました。
飲み物は、ダージリング・ティー(ポットサービス1050円)。
内幸町の「キムラヤ」なら、800円でケーキ2個とコーヒーor紅茶飲み放題なのに、
何で2000円でも足りないの~??と思いつつ、食べたお味は??
……なに、これ??
私もケーキ大好き人間なので、
いろいろなケーキを食べてはきたが、
「おいしい」とか「甘い」とか、そういう感想でなく
「ナンだろう??」という気持ちになったのは、初めて。
1.「抹茶」がいつもの「抹茶味」じゃない!
そういえば、青木さんが日本のどこかの茶畑まで買い付けに行くところを
テレビの番組の中でやっていた。
何か特別な抹茶なんだ、きっと。
新作発表会の準備で抹茶の粉をふるいながらスタッフに、
「ほら、全然色が違うだろ?」と、うれしそうに話していたっけ。
色もそうだが、味が違う。
舌の先や中央ではなく、奥の、両脇の方が抹茶の存在を感じている。
「抹茶」というより、「粒の形がなくなるまで挽かれたなめらかな粉」の味を感じる。
2.「チョコ」がいつもの「チョコ味」じゃない!
抹茶のスポンジとともに層をなしているのは、最初チョコレートだとおもっていた。
ところが、チョコじゃないような気がしてくる。
それで、「あんこ」かな?と。
青木氏は、フランスのケーキ界に「あんこ」を導入した人でもあるので。
層から離して、「茶色」の部分だけを食べてみる。
チョコ味だ…。たしかにチョコ。でも、「甘さ」も「苦味」も突出していない。
柔かい、チョコの味。
ナンだろう? 
抹茶らしくない抹茶、チョコらしくないチョコ、
シュワっとした口どけで、まったく重たさがない、「すっきりとしたケーキ」。
見た目はフランス菓子だけど、ネットリ感、どっしり感ゼロ。
何より、「あと味」の素晴らしさに酔った。
「抹茶味」も「チョコ味」も、後から津波のように風味が襲ってくるのだ。
口の中に、ケーキの余韻が戻ってくる感じ。
これほどひと口ひと口を長く楽しめるケーキにお目にかかったことがない。
だから、一口、二口、三口、と食べ進むうち、
満足感はどんどん増してくる。
実際、
舌の上で広がるさわやかとは別に、
いつの間にかおなかがいっぱいになってくる。
フシギだ~!
マカロンも、
最初のひと口は「甘み」が勝つのだが、
「あと味」にピスタチオの風味がまわってくる。
ちっとも重くならない。イヤミがない。
口の中で粉雪のように溶けていくアマンド・プードルの舌ざわりが、
いとおしく、名残惜しいほど。
この2050円、高いか、安いか??
サンジェルマン・デ・プレまで行くと思えば、安い。
甘いものなら何でもいい時、
食べるよりおしゃべりがしたい時には、
ちょっとぜいたくかも。
そう、ケーキ大好きなお友だちと、
ケーキの話題で盛り上がれる人には、絶対オススメ!
正統派の新作の味、とでも申しましょうか。
「オリジナリティがないと、パリでは生き残れない」という
青木氏の言葉の意味を、舌と胃袋で実感しました。
今度は、イタリアのどこかまで行って買い付けた「栗」を使ったケーキに挑戦しようかな。
(個人的には、お店にあった大ぶりのキッシュにも食指が動きました。
 こちらも750円~1000円前後)

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