東京バレエ団「モーリス・ベジャール追悼特別公演」11日行ってまいりました。
「ギリシャの踊り」の中島周、体つき、表情にも、一段上のダンサーになったことが見てとれました。
渾身のパフォーマンス。
力強さと、スピード感、そして柔かさ。
すばらしい出来でした。
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ちょっと体調不良で早々と寝てしまったこともあり、
報告だけの日記になってしまいました。
改めて、全体について書き足します。
*中島周くんのパフォーマンスに関しては、5/12のブログに改めて書きましたので、
そちらもぜひ併せてご覧ください。
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東京バレエ団とモーリス・ベジャールとの関係は深い。
主宰者の佐々木忠次氏は1960年代からベジャールと親交があるし、
最初に「ボレロ」を東京バレエ団が踊ったのが1982年、もう四半世紀も前のことである。
以来、「ザ・カブキ」「M」など東京バレエに振付けた新作も含め、
ベジャール作品を踊る許可をもらっている数少ないバレエ団の一つなのである。
ということで、
バレエ団には、ベジャールから直接指導を受けたダンサーが多い。
また、
ベジャール作品を見てダンサーを目指したという人も、多い。
彼の追悼公演ということで、踊る面々も、きっと心に秘めるものが大きかったことだろう。
最初の作品「ギリシャの踊り」では、文句なくソロの中島周がよかった。
ベジャールに捧げる踊り、といっても過言ではないその迫真の演技。
特にテンポがどんどん速くなる最終シーンでは、
きりもみのようなスピードで限界に挑戦する踊りに会場からも熱狂的な拍手が沸いた。
それに比べると、ハサピコの上野水香と高岸直樹は精彩を欠いていた。
特にリフトは息が合わず、見ているこちらが冷や冷やしてしまった。
次は「火の鳥」。
おき火の灰の中から炎が上がるように、
チャコールグレーの衣服をまとったパルチザンの一団の中央にオレンジの光が生じ、
やがてそのオレンジ色のレオタードに身を包んだ「火の鳥」が現われる冒頭の振付は
眼にも鮮やか。
パルチザンたちの動きもシンクロしたり、一人ひとりが別々の動きをもっていたり、と変幻自在。
「火の鳥」役は木村和夫。往年の力強さはさすがにないものの、丁寧な踊りに好感が持てる。
もう一方の「フェニックス」、11日は後藤晴雄。踊りに奥行きがないのが気になった。
ストラヴィンスキーの音楽は非常に魅力的で、
前がギリシャの素朴な民族音楽だっただけに、
音楽が内包する様々な感情のほとばしりを感じ、改めて芸術性の高さを認識した。
最後が「春の祭典」。
こちらも音楽はストラヴィンスキー。
初めて東京バレエ団でベジャールの「春の祭典」を見た時は、
その、複雑なリズムや旋律の変化の激しさをうまく利用した振付に舌を巻いたものだ。
今回は、期待が大きすぎたせいか、
あるいは私が体調が悪かったせいなのか、
あまり気持ちをひきつけられなかった。
前見たときは、座席も後ろの方だったので、
全体がよく把握できたということもあったかもしれない。
拍手がものすごかったので、よかったのでしょう。
この日の生贄役は長瀬直義と井脇幸江。
大嶋正樹、古川和則は、ベジャール逝去直前に3月での退団を決めていたため、
今回の追悼公演に参加できなかった。
本人たちも残念だろうが、観客もまた、残念でならない。
彼らの新天地での活躍を期待する。
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