7月28日にエトワール・ガラのAプロを見てきました。
やっぱりマチアス・エイマンはすごい!
この人のバネとテクニックと音楽性は、
見ているだけで人を幸せにする。
バンジャマン・ペッシュの「アルルの女」もよかった。
マチュー・ガニオとエレオノラ・アバニャートの「カルメン」は
…これはもう一つ、という感じだったかな。
大好きな愛のパ・ド・ドゥが
単なる男と女の駆け引きのようになってしまっていた。
プティの振り付けは、記号的なところがあるけれど、
記号の中の熱情をうまく表してくれないと、
奥行きが出ないな~、と思いました。
世界初演の「三銃士」は、
「みんなでやれるものに挑戦」というチャレンジなので、
お話としての完成度はイマイチ。
でも、見所は満載で、楽しく見られました。
言いだしっぺのマリ=アニエス・ジロはミレディ役。
あの存在感はジロ姐さんならではですね。
でも、
かわいらしいオブラスツォーワのコンスタンスもよかったです。
マチュー・ガニオは本当に美形で、国王の恰好で出てくるとため息。
ただ、
踊ってなんぼ、はダルタニアン役のマチアス・エイマンに軍配。
そして、
リシリュー役のバンジャマン・ペッシュが表現力の深さで魅せました。
この配役で、ぜいたくな一幕、という感じです。
あと音楽がミシェル・ルグランで、
本当は新曲を書いてもらいたかったらしいけど無理で、
彼のいろいろな映画音楽を使っていました。
それもあって、
時々内容と音楽がちょっと合ってないかな、と思うところがあった。
でも、
「愛と哀しみのボレロ」の中で私がいちばん好きな歌を使っての
パ・ド・トロワがあって、
そこは至福だったわ~。
エトワール・ガラは、オペラ座のエトワールが中心だけど、
オペラ座組だけでなく、ハンブルグ組にもとっても刺激を受けます。
シルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアプコによる
ノイマイヤーの「人魚姫」のパ・ド・ドゥは素晴らしかった!
シルヴィア、ほとんど海洋生物。
ここは深海か?っていう体の動かし方もさることながら、
表情が圧巻。
人間というより動物、といった表情なの。
そして人間である王子(リアプコ)を
「なにか今までに見たことのないものめずらしいもの」として認識する、
その好奇心があふれ出していく。
イリ・ブペニチェクの「フェリーツェの手紙」(世界初演)もよかった。
カフカが恋人のフェリーツェと文通をしていたことを題材にしていて、
ちょうどカフカの「変身」を再読した直後ということもあり、
その世界がとてもよくわかった。
でもこの作品はカフカがどうのこうのではなく、
イリの「動き」のオリジナリティがすべて。
イリのダンスには毎年「これぞコンテンポラリー」をつきつけられる。
「バレエ」の対極にある動きでありながら、
斬新さだけでなく、美しさがあり、物語がある。
これってすごい才能だと思う。
Bプロは見ていないけれど、
こちらも見たかったなー。
(追記)
一流のダンサーが、一流の振り付けを踊る「エトガラ」を見た後で
私はKバレエカンパニーによる「New Pieces」を見ました。
そのレビューも、明日書きます。
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