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「六月大歌舞伎」@新橋演舞場(1)香川照之の中車襲名

6/16に昼を、6/25に夜の「ヤマトタケル」を、見てきました。
16日の口上は、やはり猿翁がしっかりとした口調で語っていたのが印象的でした。
今日は、市川中車(香川照之)のことについて書きます。
中車は、
16日は「小栗栖の長兵衛」という岡本綺堂の新歌舞伎で、
まあ、乱暴な言い方を承知で言えば、時代劇っぽい歌舞伎なので、
周囲との差もあまり見られず、無難といえば無難でした。
が、
主役として魅力的だったか、「さすが香川照之!」と思わせたか、というと、
そこまでは行っていなかったと思います。
七月の「将軍、江戸を去る」に期待します。
25日の「ヤマトタケル」は、
「歌舞伎でなくてスーパー歌舞伎」だし
「今までも歌舞伎俳優以外の人がやっている役」だから、十分やれる、
などと言われていましたが、
いやいや、
歌舞伎俳優の力量や恐るべし、です。
コクーン歌舞伎の「天日坊」で、白井晃とかが目立たなかったの、理解できました。
舞台の上での存在感の大きさ、大きく見せるその技術といったら、
まるで体中から光が放出されるようなんですよ。
それはきっと、裾さばきとか、顔の振り方とか、
何十年という経験のなかで彼らは「自然に」やっている。
しかし、中車に「自然」にそんなことはできないわけで、
だからといって、「ことさら」もうまくできないし、
踊っているわけでなし、見得切っているわけでなし、
でもこんなに違うんだな、と。
まあ、
バレエだって、ただそこに立っているだけでプリマはプリマ、というくらい、
動かない演技がもっとも難しいのかもしれませんから、
中車を責める時期ではないかもしれませんね。
それより、中車1人、声が潰れていたのが気になりました。
1ヵ月、休演日もなく昼も夜も出ずっぱり、という経験が、
まず香川照之にはない。
今回は新橋で2ヵ月公演を打っているので、まだ折り返しだが、
この後がちょっと心配。
7月公演との間の数日の休みで、リフレッシュしてくださいね。
「ヤマトタケル」の前の口上で新・猿之助が中車と團子のことを
「二人ともピカピカの1年生ですから」と言っていて、
それがとてもほほえましく、また現実だ、と思った次第です。

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