チケットがとれず、
とても評判がよかったので、残念に思っていたところ、
お正月にWOWOWで放送してくれたので、観ることができました。
やはり三谷幸喜はただものではないな~、というのが第一声であります。
そこにあふれ出る文楽へのリスペクトと愛情がハンパない!
だからこそつくりあげられた新作だ、と思います。
また、
同じくWOWOWさんにも一礼。
平成中村座の放送のときと同じく、放送の仕方にものすごく工夫のあとがある。
いきなり本編に入るのではなく、
文楽のしくみの特徴や人形の素晴らしさ、
あるいは語りやお囃子の重要性についてきちんとそれも面白く紹介、
「見てみたい」と思わせてくれるし、
見ながら「なるほど、さっき言ってたのはこれね!」と響くこと響くこと!
私も勉強になったし楽しめましたが、
文楽初体験の夫や娘も、見入っていましたし、
「今度劇場で本物を見てみたいな~」と言っていました。
すごいことですよね、これ。
「文楽を理解し、愛し、ファンになってもらいたい」気持ちが伝わってきました。
それは、
今回三谷文楽を作り上げてきた文楽の技芸員の方々とて同じこと。
三谷さんのありとあらゆる「新しい試み」に協力しつつも
三谷さんが「(スペクタクル場面で)本水を使いたい」と言ったとき、
「人形はすべてがつくりもの。水がなくても水を使っているように見せるのが文楽」と
その本質をきちっと説明して違う角度からの挑戦を促しました。
それに対し三谷も
「なるほど! こうなったら全部つくりものでやってやる!」と意欲を見せます。
こういう対等かつ敬意をもったやりとりができる関係というのが素晴らしい!
「古いもの」と「新しいもの」は決して相反するものではないこと、
どこは踏襲し、どこは新しくできるか、
そこを皆で学びながら深め、広げていけたこの三谷文楽は、
文楽の未来の一つの形を示したと思います。
新作ながら「曽根崎心中」や「心中天網島」の名場面は
劇中劇のようにしてそのままやっているのもステキ。
でももっとも感じ入ったのは、
「文楽は大阪のもの」という大きな核です。
大阪弁でやったからこそ、
たとえ現代語でつくったとしても浄瑠璃にうまくのれたのだと思う。
大阪が、世界に誇る文化遺産。
「遺産」といっても「現在生きている遺産」であり、
これからもずっと進化し続ける伝統です。
大事にしたいと思いました。
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