映画・演劇・本・テレビ、なんでも感動、なんでもレビュー!

  1. 舞台
  2. 16 view

五月大歌舞伎@歌舞伎座(昼の部)

歌舞伎づいています。
歌舞伎座が改修のためお休みするまで、
このフィーバーは続きそう。
こんなにすごい娯楽に、なぜ今まで淡白だったんだろうと思う。
まったく触れていなかったわけではないのに。
きっと「歌舞伎は高い」「歌舞伎は難しい」という先入観が、
知らないうちに敷居を高くしていたのだと思う。
たしかにS席16000円とかA席14000円は高い。
でも、
それでもKバレエの18000円より安いんだし。
お囃子という生オケがついて、
スピーカー一つ使わず、生の声で話し、歌い、踊り、
オペラの4万5万を考えれば、ほんとに安いですよ。
その上、3階前方は4200円、3階後方は2500円。
当日幕見に並べば、自由席で一幕あたり約800~900円。
通しで見ても2500円。
自由席であることと、お茶屋やお店は使えないことが違うけど、
3階後方と見え方はさして変わらず。
5時間ライブが2500円ですから。1時間900円ですから。
ある意味、映画より安かったりする。
それでもって演者は人間国宝だったりするわけですよ。
安くないですか?
それに、
ちっとも「古く」ない。
今回の「暫(しばらく)」の衣装は、
勘三郎もテレビで言ってたけど、ほんとにガンダム。
(ていうか、ガンダム造形にこれって影響与えてる?)
「寿猩々(ことぶきしょうしょう)」のお囃子と舞は、
モダンジャズ+ヒップホップみたい。
富十郎の、表情がくるくる変わって緩急が小気味よいキビキビした舞と
大鼓小鼓立鼓に笛の競演は、もうめくるめくライブ感!
とくに立鼓の甲高い音がど迫力で、
こんなに大きな音が出るの~? もしかして叩き過ぎ?と思っていたら、
やっぱり要所ではピアニッシモなわけで、
すごいですよ。
今回の「加賀鳶」という演目では、
序幕で花道に鳶の面々がずらっと並び、
一人ひとり口上を述べるところがあって、
それも
三津五郎、菊之助、松緑、海老蔵…と続く豪華版。
私は3階席だったので、しっかり見ることができなかったんだけど、
声だけ聞いていても楽しい。
とくにうっとりしたのは、菊之助。
声がいい。よくのびる。
そして上品な中に男らしさがにじんで粋。
声だけじゃなく、表情に工夫がある。
何気ない造作の変化が多くを伝える自然さは、
彼が作品や自分の役をよく理解して動いていることを証明している。
「菊さま」と呼ばれて一世を風靡した今の菊五郎の若いときに
顔立ちも似てきました。
「戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」での踊りには
女形としての舞の神々しさとは違う、
ちょっとゆとりのある踊り方で、色気たっぷり。
「立ってるだけでも美しい」プリマの条件をクリアしてます!
菊之助は、女形としての活躍は見ているけれど、
立役も美しい!
昨日は染五郎の敵役にloveだったけど、
今日は菊之助の立役にloveだわ~。
もちろん、菊五郎さんもさすがです。
この人、おかしみがあって好き。
「加賀鳶」では鳶の頭だけでなく、
悪党にしてDV男を演じてました。こっちが好き。
みんな芸達者です。
「暫」の海老蔵は、
鎌倉五郎の隈取をした横顔が、ほとんど京劇の面のように美しかった。
これで、もう少し高音域の発声が前に押し出るようになれば、
もっと迫力が出るんでしょうねー。
彼が「暫(しばらく)、しばら~く」とかける声だけで
そこにいる全員がひれ伏す、というほどの威光は、まだ感じられませんでした。
名門の御曹司に生れるっていうのは、本当に大きな荷物を背負っているのね。
つくづく彼のプレッシャーを感じました。
「がんばれ!」も含めた喝采が、温かかったです。
*これから歌舞伎座・五月大歌舞伎の切符をとろうとする方へ。
可能ならば、花道がよく見える席をおとりください。
昼の部、
どの演目も花道を多く使い、見所も盛り込まれています。
私は3階席正面で、残念ながら見られない場面がたくさんありました。

舞台の最近記事

  1. 内博貴主演「シェイクスピア物語」

  2. 演劇界休刊の衝撃

  3. 動画配信を始めました。

  4. 「桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡」@吉祥寺シアター

  5. 8月・カンゲキのまとめ

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/nakanomari/gamzatti.com/public_html/wp-content/themes/zero_tcd055/comments.php on line 145

PAGE TOP