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役者の成長

「歌舞伎は人で見る」というのが、
歌舞伎の愉しみの一つです。
いわゆる
「どんな作品でも、その人が出演するなら観る!」
という歌舞伎の見方です。
ま、歌舞伎だけじゃないですけどね。
かくいう私もご贔屓にしている役者さんがいて、
その筆頭は片岡仁左衛門。
とはいえ、
仁左衛門さんのようなすでに名優といわれる人とは違う、
発展途上の若い俳優さんの中に好きな人を見つけ、
その成長ぶりを全部観ていく、というのも
とっても楽しいですよ!
南座での「三月花形歌舞伎」など、
「ターゲット」を見つけるいい場になるかもしれません(笑)。
面白いことに、
役者さんとファンとの出会いというのは
必ずしも「最初に観たお芝居が素敵だったから」とは限りません。
今、私は中村児太郎のお芝居を観るたびに
とても感銘を受けているのですが、
その出会いは最悪と言えるものでした。
2009年6月の歌舞伎座公演「幡随院長兵衛」で、
彼は伊予守頼義という役を演じていました。
登場人物たちがお芝居を観ているという設定が序盤にあり、
その劇中劇の人物の1人が頼義です。
父である福助扮する柏の前と語らう場面でしたが、
児太郎の学芸会レベルにも達しないようなセリフまわしに
私は憤然とするというより
「ふつうならセリフなしだよ」
「御曹司だから役がついたんだよね」
「でも、ヘタでも役がつくのは逆につらいかも」などと
憐憫の情すら感じたのでした。
あの日のことを、
私はとてもはっきりと覚えています。
その後、
2011年9月、大坂城の落城を描いた「沓手鳥孤城落月」の
「二の丸乱戦」の場では、
石川銀八(通称・裸武者)を演じた児太郎。
この役は襲名などでよく出る役なのですが、
その裸っぷりが痛々しくて、
そして彼はこの一役だったこともあり、
本当に御曹司ってかわいそうだと思った…。
しかしその児太郎が、
その後、ものすごい成長を見せたのです。
特に2013年8月、三津五郎の新三と共演したときの
「お熊」は出色の出来だった。
(以下の会見から、お熊についてしっかり先輩から習う児太郎の姿勢がうかがわれます
 http://www.ntj.jac.go.jp/topics/kokuritsu/26/4178.html
その後、父親の中村福助丈にインタビューしたとき、
「児太郎さんの女方は素晴らしいですね」とお話ししたら
「あの子、玉三郎さんとメル友なのよ~。すごい度胸でしょ(笑)。
 彼にいろいろ聞いてるみたい。
 高校にいるうちはラグビーに専念してたけど、
 お芝居が好きな子でね。今は歌舞伎に一生懸命よ」
などとおっしゃっていました。
福助の中村歌右衛門襲名と同時に、児太郎が福助を襲名することになったとき、
人によっては「まだ早いんじゃないの」などとおっしゃっていました。
(福助丈が病気に倒れたことで、2人の襲名は延期されています。)
今では町娘も傾城も上臈も、
どんな身分の役であれきっちりこなす児太郎は
きっと遠からず素晴らしい役者として
見事な襲名披露公演をすると、私は信じています。
児太郎、今月は、国立劇場に出ています。

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