六月の歌舞伎座では、
市川染五郎の息子、四代目松本金太郎の襲名披露がありました。
今年4歳の金太郎、
父親の染五郎、
祖父の松本幸四郎を中心に、
ほかに吉衛門や福助などが口上を述べました。
「まだ海のものとも山のものともわかりませんが」と前置きしながらも、
20年後には新しい歌舞伎座で活躍する役者になっていてほしい、という
幸四郎の願いが身にしみました。
で、金太郎としての初舞台が
父親、祖父とともに出た「門出祝寿連獅子」です。
幼いながらに毛振りをする金太郎が
いじらしくていじらしくて。
途中で回転が止まってしまったりもするけれど、
がんばってまた廻します。
たった四歳でも、
ちゃんと足を踏みしめ、見得を切り、
しっかり形になっているところに、
度胸のよさと天性の舞台勘を感じました。
こういう「初」を見たのも何かの縁。
金太郎のこれからを、見続けたくなりますね。
御曹司というのは、
父親ほどにできて「当たり前」という宿命を背負います。
一人前にできなくては、顰蹙を買う。
一人前にできたって人気が出たって、
「品がない」「やりすぎ」などと厳しい意見が課せられる。
重い伝統の名跡を襲うだけの名人になることを
強要され続ける一生。
そのプレッシャーを感じる年頃になってから
それでも精進ができるかどうかが勝負です。
あと10年くらいして、
遊びじゃない歌舞伎に直面したときに、
苦しくてもこの道だ、と思えるだけの強い愛情を
歌舞伎に持っていられれば、
きっと周りも本人もハッピーなのでしょうが。
こう考えると、
勘三郎は二人も息子がいて、二人とも素晴らしい役者に育ち、
本当に幸せ者だな、とつくづく思いました。
その勘三郎親子の「連獅子」については、
明日書きたいと思います。
*私が観た6月24日の夜の公演には、NHKのテレビが入っていましたので、
芸術劇場か何かで観られるかもしれませんね。
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