やっぱり、松嶋屋の座組みにはずれはない!
仁左衛門の「いがみの権太」は当代一だ!
でも、
仁左衛門だけじゃなくて、
今回は愛之助がものすごくよかった。
「雨の五郎」の曽我五郎、
いつも、なよっとした感じのする愛之助が
恰幅たっぷりに踊る。
織り交ぜられる殺陣の間合いが抜群で、
当たり前の舞踊に流れないのがよい。
また、
「千本桜」の主馬小金吾、
下市村茶店の場から追手によってたかって斬られるところ、
多勢に無勢(たった一人)ながら、
最後の最後まで抵抗するその気概と、手負いの深さが
見て取れる。
リアルな捕り物演劇であると同時に形式美を損なわない、
その歌舞伎らしさをきちんと描いて妙。
私は、愛之助ってどうしても仁左衛門コピーみたいで、
で、「コピー」じゃやっぱり仁左衛門とは比べ物にならないし、
セリフは口跡がちょっとわざとらしいし、
今まであまり好みではなかったのだけど、
本日今からっていう感じでファンになります。先が楽しみだ!
それにしても。
上方の歌舞伎って奥深いな~。
秀太郎の「じゃらじゃら」も好き。
孝太郎の浮かれた娘っこも好き。
そして…。
悪であって憎めない「いがみの権太」の心のありようを、
視線で、眉で、肩で、口元で、背中で、首で、
3階からだってわかるように演じてくれる仁左衛門が大好き!
親不孝の権太が、
不肖の息子に甘い母親にすりよるところはリアルだし、
最後自分の妻子を使って哀しい大博打に打って出るところは、
もう、
結末知っているのに「どうするの?」「どうなるの?」
「どうしてこんなことになっちゃうの?」って心配してしまう。
義に厚く、正直で家族思いで、
だからこそ悲劇を背負ってしまう権太の父・弥左右衛門の弥十郎もよかった。
彼は、こういうお役が最近はよくまわってくるけれど、
父親の情、兄の情、大家の情が、心に染み入ってくる。
ステキな時間だった。
立川まで行った甲斐があった。
作品に対する解釈のレベルの高さが見てとれた。
いい作品を、いい役者が、しっかり解釈して高みを目指すと、
こういうことになるんだな~。
やっぱり追っかけるしかない! 仁左衛門丈!
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