歌舞伎は80歳になっても現役ばりばりで輝ける仕事である。
1本の若木ののびやかさ、みずみずしさが
太く、強く、堅固に枝葉を茂らせ、
そしてやがて節くれだって、枯れていっても
そこに独特の味がそなわる。
57歳は、いかにも若い。若すぎる死である。
歌舞伎座閉場からこちら、
多くの名優が彼岸に渡ったが、
そこには長く人生を全うし、最後まで現役で輝き続けたという
大往生の薫りがあった。
しかし。勘三郎は…。
彼のこれからを、歌舞伎のこれからを、
「ないかもしれない」などと思ったことがない。
これからの20年で、今度はどんな勘三郎を見せてくれるのか、
病床にあることはわかっていても、未来が楽しみだった。
勘九郎、七之助という奇跡の跡継ぎを持って、
幸せすぎる未来の予感は持って行ってくれたことだけでも
よしとしよう。
あえて「歌舞伎界の損失」などという言葉は使わない。
損得の問題じゃないんだ。
彼がいないことが、どれだけ社会をさびしくさせるか。
多くの勘三郎ファン、歌舞伎ファンとともに
合掌
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