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熊川哲也、降板の経緯をコメント

Kバレエの公式サイトに、熊川哲也本人のコメントがアップされました。
初日開演前のTBS事業部の人の話だと、
「前日まで何もなかったが、最後のリハーサルで違和感を覚えた」
というニュアンスだったのですが、
コメントを読むと、違和感はもっと前のリハーサルからあって
加療しながら臨んだ前日のゲネプロで、さらに問題を感じ、
降板に至った、ということのようです。
「半月板損傷」という診断はたしかに前日にわかったことかもしれませんが、
受ける印象というか、
ニュアンスがかなり違ったなー。
…と、未練がましいことを書いているにはちょっと理由がある。
今回の「海賊」は、昨年のツアーと違い、東京でしか公演がありません。
昨年、熊川さん出演予定のチケットを買っていたのに見られなかった人たちは、
今回、かなり力を入れてチケットを獲得しており、
遠方からチケット代以上の交通費をかけていらっしゃっている人も多いのです。
夏休みということもあり、
場合によっては、宿泊もされた方だっていらっしゃるのでは?
こういう状況にあって、降板告知がホントにありえないくらいギリギリになった、という事態が
単に「熊川さんがケガで降板した」というショックと違ったところで
ファンの気持ち、初日に劇場にかけつけた人たちを落ち込ませたという事実は否めません。
チケットをもぎられて中に入るまで、降板の事実がわからない、という初日現場の対応も
不信感を募らせた一因になっています。
「ギリギリ」まで「出演」の方向で走っていたからこそ、混乱したということはわかりますが、
それでも当日を楽しみにしていた人たちの本当の気持ちというのは、
置き去りにされた感が強いです。
人間の気持ちというものはフシギなもので、
前もってわかっていれば、それなりに整理はつくもの。
「出演の方向だが、場合によっては代役もありうる。最終判断は何日の何時ごろ」など、
事前に情報公開する方法もあったのではないでしょううか。
もうチケットは完売してるんだから、
その情報でこれからの売上を心配する必要はないし。
これなら「降板」のショックより、「見られた」喜びの方が増すし。
どうせ「払い戻し」をするのであれば、この方がスマートだったような気がします。
少なくとも、飛行機とか宿泊とか、
熊川がいなくてもそれだけ払うという「リスク」をかけても東京にくるかどうかを
考える時間を与えてほしかったですね。
多くの熊川ファンは、
熊川のバレエだけでなく、熊川の作ったKバレエを愛しています。
彼が出演しなくても、彼の作った「海賊」、彼の育てたダンサー、彼が見込んだプリマを見に、
足を運びます。
自分の払った18000円より、彼のバレエダンサーとしての生命を先に考えます。
だから、
もっと体を大事にしてほしい。
興行も大切。スケジュールをこなすことも大切。
でもだからこそ、
長く踊れるように、いいパフォーマンスが続けられるように、
そしてKバレエが愛されるように、
やってもらえたらいいな、と心から願います。
私は、熊川自身にも、焦りがあっただろうと推測します。
もし昨年、自分の踊った「海賊」がきちんとした映像に残っていたら、
また状況は違っていたかな、と思ったりします。
Kバレエの「海賊」は熊川が、
それも絶好調で無類のジャンプと回転を得意とし、その上ケガ知らずだった熊川が
アリを踊ることを前提に作ってありますから、
かなり体力的・技術的にさまざまなことが要求されるのではないでしょうか。
どんなダンサーが踊っても、これはケガと隣り合わせのプロダクションなんじゃないだろうか。
そんなことさえ頭をよぎったりします。
また、
私は医療的なことはよくわかりませんが、
半月板損傷って、「軽い」とは思えません。
たしか去年じん帯損傷した時、
「半月板はなんともなかったからラッキーだった」と言ってたはず。
また、どんな部位を手術するにしても、
あまり時間をおかずに同じところにメスを入れれば、
周囲の組織が硬くなる、などのダメージは避けられないと思います。
以前にも書きましたが、
Kバレエの「コッペリア」は非常にプロダクションが楽しくて、
熊川さんがいようがいまいが、ものすごく完成度の高い舞台が期待できます。
彼の復帰を匂わせるのではなく、
Kバレエのさらなるレベルアップとその披露を目指して
この難局を乗り切ってほしいと、切に祈るばかりです。
*通常、バレエやオペラではキャスト変更によるチケットの払い戻しはしないのが原則です。
 しかし最近は、スーパースターの降板に限り、払い戻しに応じるケースをよく見受けます。

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