有名な、あまりにも有名なミュージカル。
1975年から1990年まで、16年のロングランを続けた名作「コーラスライン」が、
2006年再演されることが決まり、オーディションを行った。
集まった人たちは、なんと3000人!
ということは、
その選考結果をミュージカルのストーリーそのままに映画にした
ドキュメンタリーの紹介時に詳しく書いた。
そして、今回。
その「本場もの」の来日ミュージカルを観る。
やっぱり「ミュージカル」は「歌」が命だなー、
と感じたのが前半。
たしかにダイナミックな群舞はステキだけど、
会場の雰囲気がピシッと引き締まるのは、
歌声によってだ。
「At the Ballet」ののびやかさ、
「Dance:Ten; Loods:Three」のコミカルさ、
「What I did for Love」のひたむきさ……。
今回の来日メンバーの中では、ヴァル役のミンディ・ドーハーティーと
ディアナ役のレベッカ・ライカーの声が光った。
ミンディは体の使い方も素晴らしい。
コミカルだけど、品のない感じがいなかった。
ダンスではマイク役のクライド・アルヴスが、
最初からダントツで目を引いた。
ヘンなもので、
観客である自分が「審査員」の目で彼らを見てる。
だから、主役級の実力を持ちながらコーラスガールに応募してきたキャシーが
元カレのザックに自分のダンスに賭ける思いを打ち明け、
そして長い長いソロを踊ったときは、
その尻上がりにパワフルに、スピーディーに、切れよく力強くなる踊りに、
どこまでしなるんだ?という背筋の強さに、
思わず「この人を真ん中で躍らせる役をつけてあげたい!」と
思ってしまったのだった。
ロビン・ハーダー、センターで踊ってるし(笑)。
そういう役、射止めてるからこそここにいるんですけどね。
でもサプライズは最後の最後にやってきた!
金色のタキシードとシルクハットに実を包み、
テーマソングの「One」を歌いながら一人ずつ順番にステージに現れるフィナーレ。
物語では最後の「4and4」つまり男女各4人に入れた人も入れなかった人も
そして演出家のザックも助手のラリーも、みんな出てくるんだけど、
同じ恰好をして並んで踊ったら、すごーく目立つ人がいた。
それがなんと、いっちばん歳くってるラリー役のマイケル・グルーバーなのだ!!
(パッと見、マイケル・ダグラス)
上半身の動きの大きさ。
すっと伸びる脚の優雅さ。
「コーラス・ライン」のすべてを熟知しているといっても過言ではない
その完璧な動きに、私はもうノーテン割られてしまいました!
恥ずかしながらまったく知らなかったんですが、このお方、
オリジナル版(1975年~1990年)「コーラス・ライン」では
ファイナルカンパニーの一員としてマイク役で出演していて、
さらに2006年リバイバル版にも出演、という経歴の持ち主。
「コーラス・ライン」のすべてを熟知していると思った私は
いいカンしてたかも。
宝塚のロケットダンスもステキだけれど、
男性も女性も、体の大きな人も小さな人もいるのに
ものすごく揃って感じられる「コーラス・ライン」のラインダンスは、
本当に実力のある人たちでなければこの美しさを醸し出せないんだろうな、と
つくづく思いました。
あと、
私の見間違いでなければ
個別マイクはなかったのではないでしょうか。
最近のミュージカルは、
みなピンマイクを耳のあたりから仕込んであるのが当たり前になっていて、
それってどうなのかな~?って私は少なからず思ってきた人間だったので
新鮮な驚きがありました。
(オペラグラスで必死にピンマイクを探すっていうのも何なんですが…)
ピアニシモからぐーっとフォルテシモへと移っていくコーラスなどは、
ピンマイクで拾わないからこその音の広がりを感じました。
オーチャードホールで29列目っていう、
かなり後ろのほうだったんですけど、
一緒に行ったダンナも満足してくれたみたいで、一安心です。
しかしこれでSっていうのも、ねーーーー。
*リンクしている映像は、2006年リメイク版オリジナルメンバー
(つまり、ドキュメンタリーに映っていた人たち中心)で、
今回の来日メンバーと同じではありません。念のため。
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「コーラス・ライン」
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