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「トリツカレ男」@銀河劇場

坂元健児、浦嶋りん子、尾藤イサオ、
このメンバーで「音楽劇」というのを聞きつけ、
行ってまいりました。
世の中のちょっとしたことでもすぐ感動し、
(その点、この「感動おすそわけブログ」に通じるものあり)
興味を持ったらとことんのめりこんでしまう「トリツカレ男」ジュゼッペ(坂元)が
外国からやってきた風船売りの少女(原田郁子)に恋をして、
彼女が心から笑顔になるために、とことんがんばる話です。
「トリツカレルってすばーらーしー♪」というモチーフを
坂元さんが明るく強くやさしく歌うところが最高です。
尾藤さんはツイストを踊りながらガンガン歌っても
全然息切れしないのでビックリ。
私より、かなりの年上のはずで…。
浦嶋さんは、
ドリカムで吉田美和ちゃんのとなりで歌っていた頃、
ライブレストランのステージ前かぶりつきの席で聴いたことがあり、
そのパワフルさを期待していたけれど、
楽曲が大人しめだったため、「キレイ」さの方が印象に残りました。
今回が初舞台、音楽も担当した原田さん(クラムボン)の
童話のような妖精のような歌声は、癒やし系。
でも……。
原田さんの楽曲は、原田さんが一人でまったり歌うにはいいのかもしれないけれど、
ミュージカルとしては、楽曲そのものや構成に厚みがない。
メロディラインのモチーフを巧みに絡み合わせて登場人物の性格を現したり、
短調や長調に変化させ、転調などで人の成長や気分の変化を見せたり、
フーガでたたみかけ、最後は何重唱にも織り上げていくカタルシスなど、
「文法」あってこそミュージカルの舞台は雄弁になるのだな、と
つくづく思いました。
脚本についても、
うーん、よくある話をよくある展開で、
破綻ないように音楽でお茶を濁して…みたいな。
特に一幕は冗長でした。
2007年にキャラメルボックスが公演しています。
原作は大変短いものだ、という話で、
それをどう発展させていくか、
脚本・演出の力が試される作品なのかもしれません。
最近ミュージカルを多く観ているせいで目が肥えたというか、
昨日なんか、あの「天翔ける風に」でさえ、かなり辛口で書いてしまったけれど、
今回の「音楽劇」を見て、
ミュージカルって歌い手も大事だけど、やっぱり楽曲が大事なんだな、と
改めてグランド・ミュージカルと呼ばれロングランを続けている
名作たちの偉大さをおしえられました。
先日の「ジェーン・エア」で譜面が難しすぎる点にも触れましたけど、
歌い手たちは、その難しい、でも魅力的な曲に挑戦することで、
どんどん上達していって今日のミュージカル全盛時代を作ってくれている、
そんな気がしました。
初「坂元」体験の夫は、
「あの人だけ突き抜けてうまいよねー。いい声だ。いい人だ」と
とっても感心してくれたけど、
せっかく坂元さんを主役にしながら、その魅力を全部は引き出せてないと思いました。
アフタートークによると、
出演もし、音楽も担当した原田さんは、
全部自分で歌ってから曲を提供するということで、
最初は全部原田さんのキーの譜面だったそうです。
坂元さん、いつもとかなり勝手がちがって戸惑っていたもよう。
パワフルな坂元さんと、天然な原田さんの関係は、
舞台で繰り広げられるピアノとの対話(外国語を「ピアノ」で表している)に
似ていたのかもしれません。

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